最も効率的な厨房のレイアウトを自動提案 各スタッフの能力や熟練度、公平さも考慮:Innovative Tech(2/2 ページ)
米ジョージメイソン大学の研究チームは、飲食店の厨房やレストラン、スーパーマーケットでの最適なレイアウトを自動設計するフレームワークを開発した。
この手法の有効性を評価するため、何らかのレイアウトデザインの経歴を持つ被験者15人に対して、ファストフード店の厨房(4人のスタッフと10個のタスク)のワークスペースをデザインしてもらい、この手法で生成したレイアウトの出力結果と比較した。
結果、手動でデザインしたよりもこの手法で合成したワークスペースの方が、ワークプランがより速く完了した。スタッフの総歩行距離と総身体回転量も平均的に小さくなり、スタッフはワークプランの実行に少ない労力を費やしていると分かった。
ファストフード店の厨房だけでなく、スーパーマーケットやレストラン、ドネーションセンターの異なる3つの環境でのシミュレーションも実施した。スーパーマーケットでは、11人の顧客と6人のスタッフが5つのタスクに取り組む設定。異なる種類の商品を収納する複数の棚を持ち、顧客が入店すると、買い物リストに沿って商品を取りレジで購入する。スタッフは、レジ打ちと移動して陳列棚の補充を行う。
レストランでは、4つの大テーブルと11の小テーブルを配置し、5人のスタッフが協力して4つのタスクを遂行する。来店した顧客を出迎え、座るテーブルを探す、 屋台を持って歩き回り顧客が望む料理を提供する、料理のカウンターで調理する、レジカウンターで顧客をチェックアウトさせるなどのタスクを行う。
ドネーションセンターションセンターでは、10人のボランティアが寄付品を缶詰やおもちゃ、衣類、日常品、ペットフード、電子機器の6種類に仕分ける作業、梱包などを行う。ここでは、移動が制限された車椅子メンバーも含まれる。この手法は、これら3つのシミュレーションに対しても最適化に成功している。
Source and Image Credits: Yongqi Zhang, Haikun Huang, Erion Plaku, and Lap-Fai Yu. 2021. Joint computational design of workspaces and workplans. ACM Trans. Graph. 40, 6, Article 228 (December 2021), 16 pages. DOI:https://doi.org/10.1145/3478513.3480500
関連記事
- 無表情だと誤解されがちな人向け「人工眉毛付きメガネ型デバイス」 7種類の感情を眉毛で支援
公立はこだて未来大学などの研究チームは、人工眉毛の形状が多様に変化することで表情を拡張する眼鏡型ウェアラブルデバイスを開発した。 - VTuberの動きをオーバーリアクションに自動変換 中の人の表情などをアニメーションに反映
米パデュー大学の研究チームは、バーチャルYouTuber(VTuber)の配信において、ストリーマーの実際の動きよりも表現豊かな動きとして拡張し出力するシステムを開発。ストリーマーのトラッキングから得た音声や表情などに基づいてアニメーション生成する。 - 「崖から落ちたけど、壁にナイフを刺して何とか助かったぜ…」を体験できるVR、東京電機大が開発
東京電機大学松浦研究室の研究チームは、人が崖から滑落する際に、助かろうとナイフを斜面に突き立てて停止する動作を再現したVR触覚システムだ。落下から崖をナイフで刺し、しばらく引きずられて停止するまでの疑似体験を提供する。 - 「ポーズ」と「合言葉」がなければ開かない自動ドア、文教大が開発
文教大学川合研究室の研究チームは、音声と姿勢で認証する自動ドアの開閉システムを開発。自動ドアに設置したカメラで姿勢推定と音声認識を行い、あらかじめ決めておいたポーズと言葉が合致すれば開く。 - 犬から人へ電話をかけられる「DogPhone」 愛犬は飼い主にどのくらい着信を入れるか検証
スコットランドのグラスゴー大学と、フィンランドのアールト大学の研究チームは、犬から人のスマートフォンへビデオ通話をかけられるボール型IoTデバイス「DogPhone」を開発。くわえて動かすことで、飼い主に電話をかけられる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.