泡立ちが少ない理由
前述の南村氏のコメントで「暑い車中で2日以上」とあったように、そのくらい経過しないと中の炭酸飲料が危険な状態にならないくらい、保冷力が確かだ。
さらに、タイガー魔法瓶が2013年から採用している「スーパークリーンPlus」という、ボトル内部を凹凸の無いツルツル状態に加工する技術のおかげで、炭酸飲料をボトルに注いだときの泡立ちがとても少ない。これは、実際試すとよく分かるのだけど、実は、開発陣も、テスト中に発見したそうだ。
完成後に、クラフトビールのブルワリーさんに持っていってテイクアウトした際、「泡立ちが少ない」と言ってもらったのがうれしかったそうだ。これ、つまりは、コーラなどを入れた際でも洗いやすいというわけで、より炭酸飲料向きのボトルに仕上がっているということにもなる。
もともとは、飲み物の中の糖分などの付着を抑えて、洗いやすくするための加工で、しかも、もう当たり前の機能になっていたため、気付かなかったらしい。とはいえ、ずっとやってきた技術に脚光が当たるのはうれしいと南村氏は言う。これ、つまりは、コーラなどを入れた際でも洗いやすいというわけで、より炭酸飲料向きのボトルに仕上がっているということになるのだ。
デザイン面でも、飲み口のキャップを、ガスのバルブを緩める部品のような形にしたり、マットで滑りにくい表面加工にしたりと、実用性と、炭酸OKを見た目でも表現するという双方を融合したスタイルに仕上げている。丁寧な製品作りがうれしい。
保冷能力にしても、実際のところ、真空2層構造なら、どのメーカーも素材がガラスでもステンレスでもチタンでも、その部分の能力は変わらない。ではどこに差が出るかというと、キャップ部分や飲み口の形状ということになる。
キャップ部分がさりげなく2層構造になっていて、パッキンがボトルの内側にあって、キャップからの熱が伝わりにくくしているなど、タイガー魔法瓶ならではの細かい配慮は、当然、この製品でも生きている。
個人的には、炭酸飲料には氷を入れたいタイプなので、保冷効果は更に高まる。その分、炭酸の刺激は弱くなるが、私には、そのくらいがちょうどいい。微発泡、低アルコールの甘口ワインを入れてライブに出かけたりしている。この楽しみ方は、このボトルがあってこそだ。
容量も、500mLが最小サイズで、最大1.5Lのタイプまである。ビール好きにも対応する、この大容量も、何を入れて飲むのかというシチュエーションをきちんと考えて設計されている感じがしてうれしい。
ぼちぼち技術も出尽くした感がある真空断熱ボトルだが、まだまだ面白い製品が出てくる。こうなると、もしかすると、夢に見た、円筒形ではない真空断熱ボトルの登場もあるかもしれない。
関連記事
- 大根おろしに起きたパラダイムシフト 燕三条の金属加工メーカーが取り組んだ9900円の名品「17°」
新潟県燕市の刃物製造販売メーカー、シゲル工業の大根おろしは、「究極のフワフワ感」と「ツユが出にくい」「洗いやすい」を目指したものだ。 - キャッシュレスとスマートフォンの時代に向けた革小物 rethink「ニッチシリーズ」
iPodの実用的なケースを作り出したデザイナーが、コインとクレジットカードを収納できてなおかつ薄く小さい財布を開発した。 - カーボン削り出しのトースター「Sumi Toaster」がなぜ最新のオーブントースターに勝てるのか 開発陣に聞いてきた
削いで削いで作られた美しいトースター。コンロに乗せて焼きます。 - タイガーの炭酸ボトル、開発のヒントはペットボトルだった
タイガー魔法瓶が21日に発売する「真空断熱炭酸ボトル」は、国内メーカーで唯一炭酸飲料を持ち運べる真空断熱ボトルだ。しかしなぜ今までなかったのか。 - 冷たいビール持ち運べる真空断熱ボトル、タイガーが発売 1.5Lタイプまで
タイガー魔法瓶はビールなど冷たい炭酸飲料を持ち運べる真空断熱ボトル4種を21日に発売する。6000円から7500円前後(税込)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.