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文学賞「星新一賞」で“AIと作った小説”が初入選 人間以外の作品が応募の4%に増加
文学賞「星新一賞」で初めて、AIを使って執筆した小説「あなたはそこにいますか?」が一般部門優秀賞を受賞した。同文学賞に応募されたAI活用作品は114編に上るという。
日本経済新聞社は2月18日、文学賞「星新一賞」で初めて、AIを使って執筆した小説が入選したと発表した。一般部門優秀賞を受賞した「あなたはそこにいますか?」の作者・葦沢かもめさんは、AIが生成したあらすじを基にした執筆や、AIが書いた文章の編集などを通して、AIと共同で小説を作っているという。
「あなたはそこにいますか?」の内容は「作家AIの文章を校正するアルバイトの大学生が、やりとりの中でAIに意識がないことを確認し、作家には意識が大事だと気付く」というもの。
星新一賞は、応募規定で「人間以外(人工知能など)の応募作品も受け付けます」とAIなどによる作品の応募を認めている文学賞。今回の応募総数は2603編。そのうちAIを利用して作られた作品は114編(前年14編)あったという。
同賞ではこれまでも、公立はこだて未来大学(函館市)の松原仁教授の研究チームで開発した小説執筆AIが、小説「コンピュータが小説を書く日」で一次審査を突破している。
葦沢かもめさんは、自身で小説執筆AIを開発した経験がある他、AIを活用した執筆支援サービス「AI BunCho」を使ったシナリオ執筆なども行っている。過去にもSF小説文学賞「かぐやSFコンテスト」でAI利用作品が最終候補作品に選ばれるなどの実績を持っている。
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