部門を跨いだクラウド活用の“お邪魔虫”、どうまとめあげる? 横串差す組織「CCoE」設立のコツ:「CCoE」設立時の注意点 部門を跨ぐクラウド活用の勘所(後編)(1/2 ページ)
クラウド活用を部門横断で推進する組織「CCoE」。KDDIなども続々と設置しているが、立ち上げ方を誤ると逆にクラウド活用をはばむ恐れがある。クラウド活用の壁になる部門と、それを踏まえたCCoEの適切な立ち上げ方を、前後編に分けて解説する。
クラウドの利用を部門横断で推進する組織「CCoE」。KDDIやDNPなど、大企業が続々と設置しているが、立ち上げ方を誤ると社内の反対を買い、逆にクラウド活用をはばむ恐れがある。クラウド導入や活用の壁になる部門とその理由を説明した前編に続き、後編では各部門の事情を踏まえたCCoEの立ち上げ方やその注意点を解説する。
まずは“CXO”の後ろ盾を得よ 経営層関与の必要性
全社最適の体制でCCoEを立ち上げ、有効に機能させるには、単一の部門ではなく、さまざまな部門から人を出してもらう必要がある。参加する人も、各部門のキーマンや、推進力のある人が望ましい。自然に人が集まることを期待してワーキンググループを作っても、なかなか人は増えていかず、優秀なメンバーが入ることも望めない。
とはいえ、そういった人員はどこの部門も欲しいのが実情だ。そもそも経営陣が関わっていないと話が進まないので、いわゆる“CXO”に働きかけ、組織の立ち上げや人材の確保に協力してもらうことが望ましい。
例えば、DX(デジタルトランスフォーメーション)をミッションとしている“話の分かる”CXOに、DX達成にはクラウド活用が有効であることや、クラウド活用に当たっての壁、その突破には全社最適が必要なことを説き、CCoEを組成するよう促すのがいいだろう。
CXOの後ろ盾が必要な理由は他にもある。前編で説明したクラウド活用に後ろ向きなシステム部門の運用担当者のように、クラウドと自分のミッションが深く関係しているにもかかわらず反対意見を持つ人に対しては、CXOの強権を発動してもらう必要がある。
余談だが、前編で説明した打ち合わせをすっぽかした運用担当がいた会社は、上層部と連携して“カミナリ”を落としてもらうことで、クラウド活用を進めることができた。筆者としても使いたい手段ではなかったが、ときにはこういった対応が必要なケースもある。
熱意だけじゃない、CCoEをまとめるリーダーの条件
後ろ盾となるCXOだけでなく、熱意を持ったリーダーもCCoEには必要だ。仮に関係各部からステークホルダーを集め、全社最適を目指した議論ができる場ができたとする。しかしそれをとりまとめ、障壁を取り除いていくのはかなりハードな活動だ。
この活動をやり遂げるには、集まったステークホルダーを巻き込み、自身の熱意を伝え、仲間にしていく必要がある。そのためには、どこかの部門に偏重することなく、事業部門、システム部門、システムリスク管理部門それぞれの立場も理解して、会社としての答えを導き出せるリーダーが必要だ。
実際、成功しているCCoEは熱意を持つリーダーが率いている場合が多かった。とはいえ、そんな人材が都合よくいることは少ない。「ただでさえ難しいクラウドの話なのに、うちにそんな“スーパーマン”はいない」という会社の方が多いだろう。ただ、ここは少し誤解がある。
実はこのリーダー、必ずしもクラウドに詳しい人物である必要はない。CCoEの枠組みに有識者は最低一人いればよく、外部人材でも問題ない。
ただし、リーダーはこの有識者から情報を引き出す力が求められる。とはいえ「クラウドに詳しくてリーダーシップのある人」ではなく「リーダーシップがあり、かつ人から必要な情報を引き出せる人」であれば、社内にもいるかもしれない。経営陣の後ろ盾を得つつ、こういった人を引き込めるかがCCoE成功のカギになるだろう。
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