Microsoft、開発環境をまるごとクラウドPCとして用意できる「Dev Box」発表
米Microsoftが、アプリケーションの開発環境をまるごと、クラウドPCのようなデスクトップ仮想化の仮想マシンとして用意できる「Microsoft Dev Box」を発表した。5月25日からプライベートプレビューの申し込みを受け付けている。
この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「「[速報]マイクロソフト、開発環境をまるごとクラウドPCとして用意できる「Dev Box」を発表。Microsoft Build 2022」(2022年5月25日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
米Microsoftは現在開催中の開発者向けイベント「Microsoft Build 2022」で、アプリケーションの開発環境をまるごと、クラウドPCのようなデスクトップ仮想化の仮想マシンとして用意できる「Microsoft Dev Box」を発表しました。
Microsoftは、アプリケーションのビルドやデプロイなど一連のツールを用いた開発環境の構築はどんどん複雑になっており、開発チームのメンバーは開発環境の構築に大きな手間や時間を割いていると指摘。
Dev Boxは、あらかじめ必要な開発環境やソースコード、ライブラリなどをまとめて仮想マシンとして用意できるため、開発チームに参加するメンバーはすぐに仮想マシンに対してリモートデスクトップもしくはWebブラウザで接続することで、開発を開始できる利点が得られると説明されています。
また開発者は必要に応じて強力なプロセッサや豊富なメモリを搭載したマシンをプロビジョニングすることで、ローカルマシンの性能に依存せず柔軟な構成が可能。
プロジェクトやコードのバージョンごとに仮想マシンを分ければ完全に開発環境を分離できるため、複数のプロジェクトに関わっている開発者にとっては安定した開発環境を手軽に用意できるようになる他、古い開発環境など特定の環境に依存したアプリケーションのメンテナンス用環境保存にも役立ちます。
手元のデバイスに依存しない開発環境として、MicrosoftはWebブラウザから利用できる「GitHub codespaces」を提供しています。
Dev BoxをGitHub Codespacesと比較すると、GitHub CodespacesはGitHubにコードが保存され、開発ツールとしてCodespacesを用いることが前提になっているのに対し、Dev BoxはWindows仮想マシンがベースとなっているため、Windows上で実行できる開発ツールであればどんなものでも対応する柔軟性が最大の違いです。
Dev Boxの仮想マシンは「Windows 365」の上に構築され、いわゆるクラウドPCと同じ仕組みでデスクトップ仮想化の仮想マシンが用意されます。また、InTuneで管理されるため、Windows Updateによる最新のアップデートが保たれ、マシンの状態も把握可能。仮想マシンの起動を日時によって制限するなどきめ細かな設定が可能で、組織全体でセキュアな開発環境が構築できると説明されています。
Microsoftは一般向けにクラウドからデスクトップ仮想化を提供するWindows 365 Cloud PCを提供開始し、さらに2022年4月にはWindows 365 BootなどによりクラウドPCとローカルPCのシームレスな統合を目指しています。
参考:[速報]マイクロソフト、「Windows 365 Boot」発表。起動するとクラウドPCが即利用可能、「Windows 365 Offline」によりオフラインでも利用可能に
Dev Boxの発表は、ソフトウェア開発者の開発環境においてもクラウドPCを積極的に活用することで、同じようにクラウドPCとローカルPCの境界を小さなものにしていくことを目指しているのではないかと考えられます。
Dev Boxは本日(日本時間で5月25日)からプライベートプレビューとして申し込みを開始し、数カ月後にパブリックプレビューとして公開される予定です。
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