コラム
「iPod touch」終了の意外な余波 音楽プレーヤーが“業務端末”として普及したワケ(3/3 ページ)
5月11日、AppleがiPodシリーズの最後の製品であるiPod touchが在庫限りで終了となることを報告して話題となった。「決済」「リテール(流通)」分野でもiPod touchは非常に重宝されていた。
「Tap to Pay」はiPhone導入の後押しになる?
iPod touchではハンディ端末として決済機能の対応のために専用ケースを装着する必要があったが、iPhoneであれば「Tap to Payの機能が使えるのではないか」という声もある。
ただ過去の記事でも触れているように、Tap to Payの用途は限定的だ。中小規模のビジネスが新規に導入する場合には選択肢に入るが、すでに金融機関などとクレジットカードの取り扱い契約を結んで加盟店になっている場合など、必ずしも選択肢に入るわけではない。また当面は米国限定のサービスであり、あくまでオプションの1つ程度に捉えておくべきだ。
過去にもAppleはサードパーティが提供していた機能をOS標準として取り込んで市場を乗っ取ってきた経緯があるが、1社のみでは提供できない仕組みもある。業務向け端末の分野はその1つで、いくら周辺機能を標準で固めようとも、市場のすべてのニーズを満たせるわけではない。
先述の通り、なぜiPod touchが業務端末として広く活用されるようになったかといえば、安定した長期サポートと周辺機器ならびにソリューションの豊富さにあるといっていい。これはiPhoneにおいても変わらず、これまで築き上げた周辺エコシステムの存在が、引き続きiPhoneの業務端末としての地位を担保している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
iPodは「Goodbye, MD」し、世界を変えて、Goodbyeした
iPod miniを売り出したときの日本でのキャッチフレーズは「Goodbye, MD」だった。それ以外にもiPodは多くのものを変えてきた。その歴史を小寺信良さんが振り返る。
iPodにさよならを 音楽は生き続けるが、どう変わるのか
iPodシリーズ最後のモデル「iPod touch(第7世代)」在庫限りで販売終了となる。初代iPodから使い続けてきた筆者が振り返る。
Apple、iPodの歴史に幕 シリーズ最後のモデル「iPod touch(第7世代)」在庫限りで販売終了
2001年10月23日から20年にわたって活躍してきたiPodが、在庫限りで終わる。
Apple、A10 Fusionチップを搭載した「iPod touch (7th generation)」を発表
年初の予想どおり、iPod touchがリニューアルされた。
さようなら「iPod classic」──Apple Storeからホイール付きiPodが消滅
Appleが新iPhoneとApple Watchの発表イベント終了後に更新されたApple Storeから、iPod classicと(米国でまだ販売されていた)iPhone 4Sが消えた。
