新「MacBook Air」は隙のない作り 大胆に進化した外観をハンズオンレビュー(2/2 ページ)
米Appleは最新の自社製SoC「M2」の発表と同時に刷新した「MacBook Air」。「WWDC22」のハンズオン会場で実機に触れた印象は?
M2の電力消費効率にも期待
最新のAppleシリコンであるM2は、iPhone 14シリーズが搭載する「A15 Bionic」に採用されている高性能コア(Pコア)と高効率コア(Eコア)、GPUコアが採用されており、TSMCのN5Pプロセスで生産している。従来のM1はN5プロセスでの生産であり、これはiPhone 13シリーズ向けだったA14 Bionicと同じだった。CPU、GPUのコアあたりの性能や消費電力効率は、A14とA15の関係に近い。
全てのコアには改良が入り、同じ電力ならより高性能になった。中でもEコアの性能向上が顕著だ。CPUに関してはM1とM2、両者とも搭載数は同じだが、絶対的な性能は向上しているとみられる。
GPUも同様にコアあたり性能が上がってるものの、コア数はM1の最大8個からM2では10個に増えたことで、M1モデルに比べパフォーマンスは35%も向上したという。
Neural Engineやイメージ処理プロセッサ(ISP)もA15世代で、消費電力(=発熱)は同等ながらも高性能化した。実際のアプリケーションにおける性能は実機で確認したいが、引き続きノートPCとしては性能と電力効率の両面で優位に立つだろう。
CPUとGPUの性能向上に伴い、共有メモリのアクセス帯域と最大メモリ容量もそれぞれ1.5倍になった。とりわけアクセス帯域はM1、M2の生命線。処理能力が上がれば帯域も必要となるためだ。またM1 Proで初めて導入した「Media Engine」と呼ばれる動画コーデック処理に特化したプロセッサも搭載している。
製品コンセプトに忠実な1台
米ドルベースでは1199ドルからと、その内容を考えればもっともお買い得なMacであり続けているMacBook Airシリーズだが、昨今の円安進行によって16万8000円(ただしこちらは税込)と、まるで値上げされたかのような数字になってしまったのは不運だった。
しかしその性能やディスプレイなどの品質、それに性能やバッテリー駆動時間などを考えれば、Windows機と比べても決して高価というわけではない。1.24kgという重さは超軽量機が並ぶWindows機とは比べられないが、前モデルよりは50g軽量だ。カッチリとした作り、筐体の質や仕上げを考慮すると決して不利だとは思わない。
従来機はThunderboltポートが2個しかなく、しかも電源入力を兼ねていたことで不便を感じることもあった。新型はMagSafe3に対応したことで、両方のポートを周辺デバイス接続に活用できる。なおUSB-C端子からの充電は引き続き可能だ。
電源は新型の30W ACアダプター(USB-Cは1ポート)か、35Wの2ポートACアダプターが付属する。オプションで67Wの急速充電対応アダプターも選択できる。これを使えば残量ゼロの状態から30分で50%までバッテリーを充電できる。
新型MacBook Airの残念な点を挙げるなら、MacBook Proで復活したSDXCカードスロットが復活しなかったことだろうか。カメラユーザーなどは残念に思うかもしれない。
先代のM1搭載MacBook Airは、Intelチップ時代のデザインを踏襲しながらも同クラスのWindowsモバイル機に比べて圧倒的に少ない消費電力と高い性能、冷却ファンがないほど発熱が少ないなど、様々な面でユーザーにとって「快適」な製品だった。人気があったのも頷ける。
そして大人気モデルのコンセプトはそのままにAppleの最新技術を詰め込んで再構成した新型MacBook Airは、このブランドの基本コンセプトに忠実で、それだけに魅力のある1台だ。モデルチェンジのサイクルが長いMacBook Airのスタート地点として、隙のない作りといえるだろう。
【訂正:2022年6月13日12時40分更新 ※初出時に「MagSafe2」と記載していましたが、正しくは「MagSafe3」でした。おわびして訂正いたします】
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