新電力会社の1割超が事業撤退、2カ月で3倍以上に 帝国データバンク調べ
2021年4月までに登録のあった新電力会社706社のうち、1割超にあたる104社が6月8日までに倒産や廃業、電力事業の契約停止や撤退をした──帝国データバンク(TDB)はそのような調査結果を発表した。3月末時点では31社だったが、2カ月で3倍以上に増えた。
2021年4月までに登録のあった新電力会社706社のうち、1割超にあたる104社が6月8日までに倒産や廃業、電力事業の契約停止や撤退をした──帝国データバンク(TDB)は6月13日、そのような調査結果を発表した。3月末時点では31社だったが、2カ月で3倍以上に急増したという。
104社のうち、新規申し込み停止を含めた契約停止をしたのは69社で、3月末の14社から55社増えて約5倍に。電力販売事業からの撤退は16社(3月末までは3社)、倒産・廃業は19社(同15社)あったとしている。
事業の停止・撤退をした新電力会社の多くは、自前の発電所を持たず、市場から電力を調達し、割安な料金設定を打ち出していたという。しかし、ウクライナ危機で原油や液化天然ガスが高騰、火力発電に頼る日本国内の電力需給を大幅に切迫。21〜22年の冬以降は、市場価格高騰で電力調達コストが高止まりした状態が続いている。
これにより「20〜21年冬の卸電力価格の高騰で経営余力を削がれた新電力各社の経営を大きく圧迫し、採算維持が困難になった事業者で事業からの撤退や、倒産・廃業を余儀なくされるケースが相次いでいる」とTDBは原因を指摘する。
また経済産業省の調査では、電力小売業者の倒産や撤退などで大手電力会社などから供給を受ける「電力難民」企業が5月には1万3045件発生。3月の5477件、4月の5133件から倍以上に増えた。TDBは「発電設備を持たない売電事業の限界を露呈している」とし、新電力の撤退や倒産がさらに加速する可能性があるとしている。
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