撤退する新電力を支援するサービス、エネチェンジ提供 背景に夏への警戒感
ENECHANGEは21日、やむを得ず小売電気事業から撤退する企業を支援するサービスを始めると発表した。契約者対応などを代行する。
新電力比較サイト「ENECHANGE」(エネチェンジ)を運営するENECHANGE(東京都千代田区)は4月21日、やむを得ず小売電気事業から撤退する企業を支援するサービスを始めると発表した。契約者対応などを代行する。
契約者へサービス終了を告知する文書の作成から問い合わせを受けるコールセンター/専用相談窓口の開設などを無償で行う。同社はこれまでにも撤退する企業を支援しており「相談窓口開設の実績やノウハウ、相談窓口に寄せられた多くの契約者の声を生かす」という。
折からのLNG(液化天然ガス)不足に加え、ウクライナ情勢などで電力調達コストが急騰、電力小売事業から撤退する企業が増えている。22年3月以降だけでも熊本電力(熊本県熊本市)、ホープエナジー(福岡市中央区)、ウエストホールディングス(広島県広島市)、エルピオ(千葉県市川市)、アンビット・エナジー・ジャパン(大阪市北区)、Nature(神奈川県横浜市 )がサービス終了を発表し、このうちホープエナジーは破産手続きを始めた。新規契約の受付を休止するケースも相次いだ。
ENECHANGEは「新電力から『撤退したい一方で既存の契約者に対する供給継続の努力義務があるため、速やかな撤退が難しい。このままだと夏がきてしまい、再度電力需給のひっ迫や市場価格の高騰による収益悪化の懸念がある』という声が多数寄せられている。スムーズな撤退を支援し、契約者の不安を解消する」としている。
ENECHANGEは2015年創業。小売電気事業の比較サイト運営の他、エネルギー関連のSaaS事業などを手掛けている。2020年に東証マザーズに上場した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 新電力、1年で14社倒産 撤退は計31社に 帝国データバンク調べ
帝国データバンクは30日、新電力会社の倒産が2021年度は過去最多の14件に上ったと発表した。直近1年以内に電力小売事業から撤退した事業者を含めると31社に上る。 - “格安電気“で新規受付の休止相次ぐ ウクライナ侵攻による燃料不足で 「長期化」予想も
格安電気をうたう電力小売事業者で新規申込受付の停止が相次いだ。電力卸売取引価格の値上がりが原因で「長期化も予想される」という。 - 格安電気「エルピオでんき」がサービス停止、4月末で供給打ち切り 約14万件の世帯に影響
電力小売事業や都市ガスの供給を手掛ける、エルピオは電力供給サービス「エルピオでんき」のサービスを停止すると発表した。4月30日を最後に、全エリアで全てのサービスを停止する。 - 電力ひっ迫も「ブラックアウト」はない 局地的な停電の可能性は残る
東京電力管内の電力需給ひっ迫を受け、SNSでは「ブラックアウト」が注目を集めた。ただし東電によると万が一管内全域を巻き込むような停電は発生しないという。 - 電気代が数倍? 電力取引価格の高騰で「市場連動型プラン」がピンチ 対応に追われる電力小売事業者
電気の需給がひっ迫し、日本卸電力取引所(JEPX)の電力取引価格が高騰。「市場連動型」電気料金プランの利用者は電気代が跳ね上がる可能性があり、各地の電力小売事業者が対応を模索している。