Google、地理空間分析プラットフォーム「Earth Engine」の政府や企業への有償提供開始
Googleは、2010年から非営利研究プロジェクトに提供している地理空間分析プラットフォーム「Google Earth Engine」の、政府と企業向け有償提供を開始する。「Google Cloudを介したエンタープライズグレードのサービス」として提供する。
米Googleは6月28日(現地時間)、これまで非営利の研究プロジェクトにのみ無償で提供してきた「Google Earth Engine」の、政府および企業向けの有償提供を開始すると発表した。
Earth Engineは、地球の状態を衛星画像によって可視化し、分析するためのクラウドベースの地理空間分析プラットフォーム。2010年に非営利団体への無償提供を始めた。70ペタバイト以上の分析可能な地理空間データを「BigQuery」や「Vertex AI」などのツールを使って解析できる。多数の団体が、リモートセンシング調査や伝染病流行の予測、天然資源管理などに活用している。
地球は危機的な気候変動に直面しており、異常気象対策の取り組みが急務になっているため、このプラットフォームを「Google Cloudを介したエンタープライズグレードのサービス」として提供するとしている。価格体系などについては触れていない。
過去には、米環境問題シンクタンクのWorld Resources Instituteによる世界の森林の状況をモニタリングできるツール、Googleによる山火事レイヤーなどがEarth Engineで構築された。
昨年から一部の企業向けにプレビュー提供しており、例えば害虫駆除製品メーカーの米SC Johnsonは蚊の発生を予測するモデルを構築した。過去60年間の蚊の個体数に関するデータとEarth Engineを組み合わせ、数十億の個々の気象データポイントを使い、蚊の個体数がいつどこで出現するのかの予測モデルを開発したという。
非営利団体、学術研究、教育のユースケースについては、Earh Engineを今後も無償で提供していく。
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