CMSベンダーに独禁法違反の疑い 「独自の方がセキュリティ対策になる」と自治体に営業、他社参入を阻害
サイネックスとスマートバリューに独占禁止法の規定に違反する疑いがある。2社はWebサイトの改修を計画する自治体に、独自開発のCMS導入が情報セキュリティ対策になると営業活動を行い、他社が受注競争に参加しにくくなるよう働きかけていた。
公正取引委員会は6月30日、メディア事業を手掛けるサイネックス(大阪市)と行政向けサービスを展開するスマートバリュー(同)に、独占禁止法の規定に違反する疑いがあると発表した。調査の結果、2社はWebサイトの改修を計画する自治体に対し、独自開発したCMSの導入が情報セキュリティ対策になると営業活動を行い、オープンソースのCMSを扱う他の事業者が受注競争に参加しにくくなるよう働きかけていたことが分かった。
サイネックスとスマートバリューは自治体に対し、オープンソースのCMSではなく2社が開発した独自のCMSを導入することが情報セキュリティ対策上必須とする仕様案を自治体に配布した。
営業を受けた自治体自身ではCMSの仕様策定が困難であり、この結果、中には発注の際にオープンソースのCMSを使わないよう規定した自治体もあった。これによりオープンソースのCMSを取り扱う事業者の参入が阻害された点が、独禁法違反の疑いに当たるという。
公正取引委員会は、情報セキュリティ上の問題について、使用するソフトがオープンソースであるか否かにかかわらず、適切なシステム構築と保守、運用が重要であり、独自CMSとしないといけない理由はないとの見方を示した。
サイネックスとスマートバリューは今後、問題となった営業行為の停止、法令順守に向けた行動指針の作成と従業員への周知徹底、定期的な研修と監査、公正取引委員会への履行状況の報告などを行う。
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