クラウド活用できない企業によくある4つの問題点 “脱オンプレ思考”の必要性(2/3 ページ)
クラウド活用が進まない企業が抱える問題点を前後編で解説。前編では“オンプレ思考”から脱却することの必要性を解説する。
ベンダーに丸投げとは一味違う、クラウド時代の障害対応
もう一つ、クラウド活用の障壁になるオンプレ思考の例として挙げられるのは、障害対応に関する考え方だ。
オンプレの場合、物理サーバからアプリまで全て“お抱えベンダー”が面倒を見てくれる場合が多かった。しかしクラウドになるとそうはいかない。例えばIaaSでは物理サーバや物理ネットワークはクラウドベンダーが面倒を見ることになる。
IT部門がお抱えベンダーに丸投げしていた場合、障害が起きたら、その原因調査、対応の経過、再発防止策の立案までこと細やかに報告させていた。IT部門はこの報告をさせ、再発防止策を取り付けることに、その存在意義を見いだしていた面もある。
しかし、クラウドで障害が発生しても個別連絡は来ない。クラウドベンダーの専任担当者を雇えば連絡を受けられるが、通常はWebページ上に掲載される経過報告を確認することになる。クラウド事業者にとっては障害は起きるもので「可用性が必要なら冗長化(あえて設備や装置を過剰にし、一部が故障しても運用を続けられるようにすること)してください。冗長化の手段は提供しています」という立場だからだ。
一部のIT部門にはこれがつらい。オンプレミスの場合、上長から障害状況を聞かれても、「○○システムが停止しています。いまベンダーがハードを見て原因確認しています。○○時までには原因が解明するはずです」と現状と今後の見通しを答えられていた。しかし、このノリをクラウドで求められると厳しい。例えばこんな感じになる。
「クラウドで障害が起きています。○○システムは可用性がそこまで必要でないシステムだったので冗長化しておらず停止しています。障害の原因はクラウドベンダーが調べているはずです」
こんな話をオンプレ思考の上長にしたら大変だ。こんな回答が返ってくるかもしれない。
「客のシステムを停めておいて報告がないとはどういうことだ! ちゃんと調べさせろ! いつ直るんだ!」
こんな具合で“激詰め”されるかもしれない。IT部門にとっては、クラウド障害と上長の板挟みになってしまうわけだ。
もちろん、クラウドベンダーの専任担当者を雇えばこの問題は緩和できる。しかし、そもそも担当者を雇える会社はこんな状態にはならない。事態を改善するには、考え方を変えるしかないのだ。
そもそも機械は壊れるものなので、障害は必ず起こる。そして、クラウドでは障害対応に向け冗長構成を取れるので、求められる可用性に応じた冗長性を確保すべきである。重要度が低いシステムで冗長化しないならば、障害時はクラウドベンダーによる復旧を待つべきだろう。
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