「コナン」などのアニメ制作会社、アニメーター養成所開設 DX化進む映像業界を支える人材育成
「名探偵コナン」や「それいけ!アンパンマン」などのアニメ作品の制作を手掛けるトムス・エンタテインメントは、アニメーターやディレクターを育成するために「トムス・エンタテインメント クリエイター養成所」を設立する。
「名探偵コナン」や「それいけ!アンパンマン」などのアニメ作品の制作を手掛けるトムス・エンタテインメント(東京都中野区)は7月22日、アニメーターやディレクターを育成する「トムス・エンタテインメント クリエイター養成所」を設立すると発表した。2023年4月に開講予定で、受講料は無料。
指導は現役のアニメーターが担当し、実際の動画・原画を教材に使う他、作画・演出技法の論理的な座学講座やディスカッションの時間も設ける。卒業生はトムスで制作している作品に参加可能で、さらに成績優秀者はトムス専属契約もしくは優先契約を結び仕事を用意する。他に、同社のオリジナルIP創出や若手チャレンジ企画にも参加できるという。
受講生の募集は22日から始めた。研修期間は2年間。募集人数は若干名、応募資格は23年3月に高等学校を卒業見込み、もしくは高等学校以上を卒業した18歳〜25歳までの人としている。また研修生が技能習得に集中するため、生活費として月額10〜15万円を支給する奨励金制度も条件付きで設ける。
同社ではこれまで、アニメーターの人材不足やデジタル作画への移行、CGの活用と作画との融合、アニメーション制作工程のDX化など、日本アニメ業界が中長期的に抱える問題の解決を目指してきた。同社は「目まぐるしく変わりゆく映像業界の渦中でも、確かな作画・演出の技能を持ったクリエイターだけは常に必要不可欠」と話す。
続けて「目先の利益を求めてクリエイターの卵をふるいに掛けるのではなく、丁寧な教育指導と現場実習によって地に足のついた技術と知識を身につけてもらい、アニメ業界を支えていく人材を着実に世の中に送り出していく」と、同養成所開設の目的を説明している。
同社では若手クリエイターの育成を目的とする前身組織を21年4月に設立。23年度はその取り組みを加速するべく、名称を改め間口を広げたという。
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