“無制限発行”と経理の負担減を両立 LayerXが法人カードサービス 「統合型BSM」でリード狙う
LayerXは7月26日、法人向けカード「バクラクビジネスカード」を8月から提供開始すると発表した。法人向けの支出管理サービスとしてこれまで、「バクラク請求書」「バクラク経費精算」などを展開してきたが、法人カードを提供することで企業の支出管理をフルカバーできるようになるという。
LayerXは7月26日、法人向けカード「バクラクビジネスカード」を8月から提供開始すると発表した。法人向けの支出管理サービスとしてこれまで、「バクラク請求書」「バクラク経費精算」などを展開してきたが、法人カードを提供することで企業の支出管理をフルカバーできるようになるという。
バクラクビジネスカードは、初期費用・年会費・発行手数料が無料の法人カード。即日追加発行が可能な他、企業にもよるが与信枠として最大1億円の決済に対応。バーチャルカードとリアルカード(22年中に提供予定)の2種類が発行でき、発行枚数は無制限。利用限度額や利用停止もカードごとに設定できる。カードブランドはVisaを採用しており、プリペイドと違い加盟店の制限もないという。
無制限で発行できるため、導入しているSaaSやサーバ費用、広告などにカードを発行し、稟議の内容に合わせて利用限度額を設定可能。例えば、福利厚生として毎月5000円の図書補助費を、利用限度額5000円に設定したカードとして従業員に発行することで、経費精算や立替精算が不要になるという。決済内容はシステム側で即時に確認できる。
事前申請や承認機能なども搭載しており、例えば、出張が多い社員向けのカードなども利用想定の1つとして上げている。利用限度額0円の出張用カードを発行し、出張申請時に事前申請した金額に応じてカードの利用上限を設定できる。これにより、小口現金の廃止や、立替・経費精算が不要になるとしている。
こうしたカード利用後は明細の回収が必要となるが、バクラクビジネスカードでは、利用した瞬間に明細を連携できる他、領収書などの証憑回収機能を2022年内に実装予定。「明細を見ても何の費用か判別がつかない」「予算とのひも付け管理が難しい」といった、経理業務の負担を減らすことができるとしている。
日本の事業決済におけるカード利用は1%
法人向け支出管理サービスは「BSM」(Business Spend Management)と呼ばれており、先行している米国では支出管理サービスと法人カードの統合が進んでいる。事業決済をカード支払いにすることで経費精算や請求書発行、振込業務を減らすことができるものの、日本での事業用決済のカード比率は1%にとどまる。こうした背景もあり、日本では支出管理と法人カードが一体化したBSMは少ないという。
同社代表取締役の福島良典氏は「個人で『Amazonで本を買う』時は誰の承認も必要ないが、会社でPCを変えたい、机を買いたい、広告を打ちたいなどのケースは必ず事前に申請が必要で、それが承認されてから決済となる。決済後も、証憑保管などで経理業務に課題がある」と提供の背景を説明する。
バクラクシリーズは、リリースから1年半で累計2000社以上に導入されており、23年3月期末までに3000社での導入を目指している。同氏は「日本は法人支出管理が進んでいないので、法人カード単体、SaaS単体で成長するところも出てくるだろうが、我々は最初から理想を追求したい」とし、日本発の統合型BSMとして、2023年8月末までにバクラクビジネスカードの1000社導入を目指す。
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