自動運転車に“目”を付けると交通事故が減る? 東大がVR動画で検証
自動運転車に“目”を付けることで歩行者たちに意図を伝え、交通事故を減らすことができるか? 東京大学がこんな検証を行った。
自動運転車に“目”を付けることで歩行者たちに意図を伝え、交通事故を減らすことができるか?──東京大学は9月20日、このような検証実験を行ったと発表した。自動運転車の社会実装に向けた課題の一つである「周囲の人間との意思疎通の難しさ」を解決するために、車両に取り付けた目から歩行者に視線を送ることが安全性向上に有効か、検証を行ったという。
まず研究チームは、自動車のフロントバンパーにモーター駆動で視線を動かせる目を取り付けた実験車両を製作。車両が走行、停止する様子を道路を横断しようとする歩行者の視点で撮影した。実験では歩行者が急いで自動運転車の前を横断する場面を想定。実験参加者が歩行者となり、道路を渡るべきか止まるべきかをVR動画を見てもらうことで判断させた。この際、車両の目や視線の有無で結果が変わるのか検証した。
実験に参加した18〜49歳の男女各9人(計18人)の結果を評価したところ、目の付いた車両で視線を向けると危険な道路横断を低減できる可能性があると分かったという。
車両からの視線がある場合、男性歩行者は危険な道路横断(車両が通過しようとしている状況での横断)が減少し、女性歩行者は安全な状況(車両が停止しようとしている状態)での無駄な停止が減るなど、性別による行動の差異を示したとしている。
動運転車に目を実装するアイデアは、歩行者とのコミュニケーションを円滑にする方法としてこれまでも自動車メーカーや研究者たちから挙がっていたという。しかし、実装はプロトタイプまでにとどまり、実際の場面での歩行者の反応については明らかになっていなかった。
研究チームは「今回の研究成果は、自動運転車と道路利用者との意思疎通を円滑にするための1つの可能性を示す」と説明している。
この研究成果は、韓国ソウル市で開催中の自動車に関する国際技術会議「ACM AutomotiveUI 2022」(9月17〜20日)で発表された。
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