“ファクトチェック”はオカルト検証番組のことだったのか?(2/2 ページ)
真偽不明の情報が飛び交うネット空間を良くしようと、米Googleとヤフーの支援を受け立ち上がった「日本ファクトチェックセンター」について、ネット上ですでに批判の声が上がっている。JFC側とネットユーザー側の温度感に、ボタンの掛け違いがありそうだ。
それは届けたい読者に届くのか
もう一つの観点は「誰に対する価値提供なのか」ということだ。JFCは早速ファクトチェック記事をいくつか掲載しているが、その中には「『政府が飛行機雲で有害物質を空から散布している』は陰謀論」という記事があった。
これは多少なりとも情報リテラシーを持っていれば、調べるまでもなく信じるに値しない話だ。問題は、ではこのような陰謀論に触れたときに信じてしまう低リテラシー層がこの記事を含め、ファクトチェック記事を見ることはあるのか、そして見たときに科学的、あるいは論理的な説明をもって納得してくれるのか、ということではないか。
これは完全に筆者の肌感でしかないが、今のJFCの発信は「多少なりとも情報リテラシーを持っている人」にしか届いていなさそうに見える。だから「これはウソだよ」と発信をしても「知ってた」「そもそも信じてなかった」というような声しか返ってこない。
やるべきことはオカルトの検証なのか
ケムトレイル(有害物質散布)の記事を読んだとき、筆者はオカルト検証番組でUFOやUMAを否定する学者の姿を思い浮かべた。オカルト検証番組はバラエティなのでそれでいいのだが、真面目な体をしてやっていることがオカルトの検証でいいのだろうか。
「ネット空間の誤った情報を直していきたい」という目標自体に異を唱える気はない。ハイリテラシー層より低リテラシー層に届けたいのも分かる。
しかし、ハイリテラシー層にしか情報が届いていないような状況で、ハイリテラシー層からそっぽを向かれるような方針を掲げていては続くものも続かないのではないか。
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