「ファンアートは自分で描いて」 画像生成AIのイラストにVTuberが苦言
「ファンアートは自分で描いて」──画像生成AIが描いたAIイラストを巡って、バーチャルYouTuber(VTuber)の投稿が話題だ。SNS上などでは現在、3日にサービスを始めた画像生成AI「NovelAI Diffusion」などの影響から、AIイラストの投稿が相次いでいる。
「ファンアートは自分で描いて」──画像生成AIが描いたAIイラストを巡って、バーチャルYouTuber(VTuber)がTwitterに投稿した苦言が話題になっている。カバー(東京都中央区)が運営するVTuber事務所「ホロライブプロダクション」に所属する夏色まつり(@natsuiromatsuri)さんら有名VTuberがファンアートとして投稿されるAIイラストについて相次ぎ持論を展開した。
VTuberのファンの中にはファンアートを自作し、Twitter上などに投稿する人たちがいる。また、指定したハッシュタグを付けて投稿されたファンアートをVTuber側がYouTubeチャンネルやSNSなどで紹介する文化がある。夏色まつりさんも自身のファンアート向けハッシュタグとして「#祭絵」を定めている。
一方、3日にサービスを始めた画像生成AI「NovelAI Diffusion」などの影響から、SNSやイラスト投稿サイトには画像生成AIを使って作成したイラストの投稿が相次いでいる。11日午後4時時点でイラスト投稿サービス「pixiv」には「#NovelAI」をタグに付けた作品が1166件あり、中には漫画やアニメの二次創作やVTuberをモデルにしたと思われるイラストも含まれている。
このような背景から「最近のイラストAIのクオリティーが高すぎて(AIイラストだと)気付けない」と夏色さんは指摘。ファンアート向けハッシュタグを使う際は、自身の手で描いた作品を投稿してほしいと訴えている。
夏色さんのこの投稿に対して「タグのついた絵はサムネやSNSなどに使わせてもらうため権利関係が不明瞭なAIイラストはトラブルになりかねないって話だと思う」「(AIを使ったイラストには)AIタグは付けてほしい」「ファンアートは自分で時間と労力を割くから意味があるのでは」などの意見が寄せられている。
他にも画像生成AIを巡っては、カバーが運営する英語圏向けVTuberグループ「ホロライブEnglish」所属の小鳥遊キアラ(@takanashikiara)さんも6日に、「ファンアート向けハッシュタグにAIで作られた絵を投稿しないでほしい」とツイート。「AIアートはすてきなものが多いが、ハッシュタグの付いたものはYouTubeのサムネイルに使う場合もあるため」と理由を説明していた。
ホロライブ所属の赤井はあと(@akaihaato)さんは6日、画像生成AIが作成したイラストとは知らず、自身のYouTubeチャンネルでAIイラストを紹介してしまったと説明。「絵師さんを不快な思いにさせてしまって、配慮がなくて本当に申し訳ないです」とTwitter上で謝罪していた。
日本の著作権法30条の4第2号では、AI開発のためにデータを学習させる際、原則として著作権者の承諾を取らずとも自由にデータを利用できると記している。ただしAIに詳しい柿沼太一弁護士によると人間の描いた絵を学習したAIに生成指示を出して、学習した絵と同じものを出力した場合は著作権侵害に該当する可能性があるという。
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