マネフォ、創業来最大の赤字でも”絶好調” SaaS ARRは43%増加し150億円突破(2/2 ページ)
マネーフォワードは10月17日、2022年11月期第3四半期(6-8月)の決算を発表した。四半期の営業利益は25億1000万の赤字、第3四半期までの累計は63.6億円の赤字となった。一方で、業績としては絶好調だ。
採用好調、第3四半期で260人増 人件費拡大
売り上げが絶好調の中、赤字額が拡大したのは投資も加速したからだ。売り上げ好調のSaaS企業は広告宣伝費が増加する場合が多いが、広告費は想定していた見通しの下限からさらに下振れし約16億円にとどまった。
コスト増の主要因となったのは人件費だ。第3四半期だけで260人を採用した。「人件費がものすごく増えた。7億円のコスト増のうち5億が人件費増だ」(金坂氏)。中堅企業向けのセールス、マーケティング関連の人員を中心に採用したほか、4月に買収を発表したNext Solution社の44人が加わった。
全体としては売上高が計画の上限を超えて上振れする一方で、損益は計画内に収まっている。
絶好調の売り上げを背景に、第4四半期からは収益改善モードに入る。「第3四半期の18.7億円のEBITDA赤字が底。ここから赤字幅縮小のモメンタムになる」と金坂氏。
翌期となる23年11月期は、投資を継続しつつもEBITDAを改善し、24年11月期は再びEBITDA黒字化を果たすという方針を明らかにした。
マネーフォワードは21年11月期において、コミットしていたEBITDA黒字化を実現。その後、再成長のために赤字となる計画を発表した(記事参照)。継続的に30〜40%の売上高成長を目指したが、結果的には40%を超える成長が継続。いったん黒字化の後、再度アクセルを踏み、赤字になりながら高成長を目指すというシナリオは狙い通りとなってきている。
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