「ETC2.0」がサーバに送信している速度や位置情報、民間活用の動き始まる トラック運行情報や保険にも(3/3 ページ)
ETC2.0が、位置情報や速度などを、国土交通省のサーバに随時アップロードしていることは意外と知られていない。この情報を民間が活用できる仕組みも整備が進んでいる。
ETC2.0情報、民間活用の動き
ETC2.0機器の普及に伴い、プローブ情報を民間が活用できる仕組みの整備も進んでいる。国交省は18年8月に、道路新産業開発機構(HIDO)を通じてETC2.0のプローブ情報を民間に提供することを決めた。物流事業者のトラックなどの運行管理に、ETC2.0のプローブ情報を活用しようという考えだ。
スマートドライブは、プローブ情報の活用に期待する1社だ。7月にHIDOと連携し共同実証を開始した。
トラックなどの運行管理では、デジタルタコグラフ(運行記録計)などのデータをクラウドにアップロードすることで、今どこを走っているのかといった位置確認が可能になる。しかしデジタルタコグラフは高価で、導入に二の足を踏む会社も多かった。ETC2.0ならば、物流会社向けの高速道路割引が充実しているため導入済みの企業が多い。
「いきなりクラウド対応デジタルタコグラフは入れられないという企業でも、ETC2.0のプローブ情報を使えば十分なリアルタイム性が得られる」とスマートドライブで技術開発を担当する元垣内広毅取締役は話す。
物流会社側の許諾を得たらHIDO経由で国交省のサーバにあるETC2.0のプローブ情報を取得。スマートドライブのプラットフォームでデータ欠損などを補完し、運行管理に活用できるサービスとして提供する。
物流会社からすれば、「あとどれくらいでトラックが到着するのか」という問い合わせに対し、ETC2.0のプローブ情報を元に「今このあたりを走っています」とほぼリアルタイムで回答できるようになる。スマートドライブでは、すでに数百台規模のプローブ情報を取得してサービスに活用している。「位置を確認できるし、完全ではないが日報も出せる。クルマの使われ方のレポートも作成できる」(元垣内氏)
現在はITSスポットが高速道路ならびに主要国道のみと数が少ないため、高速道路を降りてしまうと情報が送信されないという難点もある。ただし物流施設内に設置する簡易型ITSスポットの準備も進んでおり、ニーズを徐々に満たしつつある。
ETC2.0のプローブ情報活用はまだ始まったばかりだ。「大々的に活用しようとするのは当社が初なのではないか」と元垣内氏は言う。トラックのドライバーにも時間外労働の上限規制が適用になる「物流の2024年問題」に向けて、クラウドを活用した運行管理の重要性は増すばかりだ。しかし、クラウド対応デジタルタコグラフのデータ規格はメーカー固有となっており互換性がない。ETC2.0のデータならばデータ規格が共通だというメリットもある。
スマートドライブでは物流などの法人向けを皮切りに、ETC2.0のプローブ情報を一般消費者向けの自動車保険にも活用していきたい考えだ。「半年から1年以内には、次のステップに進めるのではないか」(元垣内氏)
関連記事
- Teslaロングドライブ、横浜から岡山まで1400km 残り5%予測ギリギリ旅の乗り切り方
筆者のTesla Model 3による往復約1400kmの旅と、1回の満充電で776kmを走破したロングドライブ記録保持者の体験談を紹介。 - 業界初、カードの有効期限を声で教えるETC車載器 声は日高のり子さん
ETCカードの有効期限を声で教えるETC車載器がパナソニックから。音声は日高のりこさんが担当する。 - 尼崎市のUSBメモリ、スマホのGPS辿り発見 「漏えいしていない保証はない」とBIPROGY
BIPROGYは24日、兵庫県尼崎市の全市民46万人分の個人情報が入ったUSBメモリを紛失し、その後発見した件で記者会見を開き、発見時の状況や今後の対応を説明した。鞄には紛失したときと同じ状態で入っていたという。 - ガーミン、eスポーツ向けGPSウォッチを日本で発売 ゲーム中の心拍数やストレスを計測
ガーミンジャパンが、eスポーツ向け機能を搭載したGPSウォッチを2月4日に発売する。ゲーム中の心拍数やストレスを計測する機能を持つ。価格は3万3800円(税別)。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.