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DXにAIを生かすには? “AI基盤の鉄板構成”で手軽に成果を享受する方法

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 ここ数年でホットなビジネス用語といえば「DX」(デジタルトランスフォーメーション)だ。ITで業務を効率化したり、保有する各種データを活用して新たな企業価値を生み出したりといった取り組みによって、企業の成長や競争優位性の確保を狙っている。

 このDXで役立つテクノロジーの一つがAIだ。業務の自動化やデータ活用の分野で大きな力を発揮する。特に昨今は「AIの民主化」といわれ、多くの企業がAIのメリットを享受できるようになった。

 AIなどの新しいテクノロジーのメリットを生かし、DXを実現するために企業が重視すべきポイントはどこか。今回は、デル・テクノロジーズが主催したイベント「Dell Technologies Forum - Japan」(2022年10月開催)を基に、AI活用のポイントをソフトウェアとハードウェアの両面から探っていく。

 ここではデル・テクノロジーズの増月孝信氏(DCWソリューション本部 シニアビジネス開発マネージャ AI Specialist)が登壇した講演「千変万化する世界、実用化に向けたAIライフサイクル」を取り上げる。

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講演したデル・テクノロジーズの増月孝信氏(DCWソリューション本部 シニアビジネス開発マネージャ AI Specialist)

機械学習の自動化で、AIの民主化を進めた「AutoML」

 かつて、AIを使うには専門的なスキルが必要だった。しかし機械学習やAIモデルの設計、パラメーターの設定といったAI開発時のプロセスを自動化する手法「AutoML」(Automated Machine Learning:自動機械学習)が登場したことで、AI活用のハードルが一気に下がった。

 このAIをDXの文脈で使う使用方法の一つがデータサイエンスだ。企業が保有するデータから新たな価値を生むためのもので、典型的な手順がある。具体的にはデータの調達や前処理、機械学習によるAIモデルの構築、データの分析といったフローを繰り返すことで成果物の精度を上げていく。

 「AIの精度を上げるには、さまざまなノウハウを駆使しつつトライアンドエラーを繰り返す必要がありました。データサイエンスの領域で、これをいかに自動化するかという点でAutoMLが注目されています」(増月氏)

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典型的なデータサイエンスのフロー(講演資料より、クリックで画像拡大)

AutoMLの効果は? プログラミング不要、オープンソース基盤のITツールで説明

 AutoMLの効果とはどれほどのものなのか。増月氏は、AutoMLの分野でデル・テクノロジーズと協業している米H2O.ai社の自動機械学習ツール「H2O Driverless AI」を例に紹介した。同ツールはプログラミング不要で使える上に、オープンソースベースで開発しているため、世界中のデータサイエンティストの知見を反映している。まさにAIの民主化を象徴するようなツールだ。

 このH2O Driverless AIは、データを用意してツールに入力すれば、機械学習時のアルゴリズム選定やAIモデルの作成、評価といったデータサイエンスのフローの大半を自動化できる。

 H2O Driverless AIの導入事例は、海外では研究機関や金融機関が多いという。国内では製造業の企業が機器のメンテナンスに活用したり、予知保全用のAIモデルを作ったり、製品の材料を開発するマテリアルズ・インフォマティクスに使うといった多くの事例がある。

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H2O Driverless AIで自動化できるデータサイエンスフロー(講演資料より、クリックで画像拡大)

AIモデルは継続的な更新が必要 重要な手法が「MLOps」

 AutoMLによってAIモデルの作成や評価が手軽になった。とはいえ作ったAIを本番環境に実装して終わりではない。AIモデルの基になったデータは常に変化するため、同じAIモデルを使い続けると精度が落ちてしまう。そのためAIモデルを継続的に更新する必要がある。

 ここで重要なのが「MLOps」(Machine Learning Operations)という手法だ。AIモデルの機械学習から実装、運用までのサイクルを素早く回すことで精度の維持や向上を期待できる。さらに一連の作業を自動化することで、一層の効率化を狙うものだ。

 「開発したAIは常にモニタリングする必要があります。精度が変わったらモデルを再学習してアップデートする必要があり、これを全て人の手で作業するのは大変なのでMLOpsで自動化することが重要です」(増月氏)

「DXは最高の開発環境を提供できるかにかかっている」 そのためのIT基盤とは

 ここまでAIの活用について説明してきた。AIを適切に活用すれば、企業の成長やDXの実現に近づける。そこで、ここからはAIを活用したDXに視点を移したい。

 「DXは、開発者に最高の開発環境を提供できるかにかかっている」――増月氏が講演内で紹介したこの言葉は、デル・テクノロジーズでDXを主導するジェン・フェルチ氏(最高デジタル責任者 兼 最高情報責任者)が過去に同社のイベントで話したものだ。

 どういうことかというと、開発者やデータサイエンティストといったDXの要である従業員が、本来の役目ではない作業を請け負うことでDXの推進を妨げているということだ。例えばデータサイエンティストがデータ基盤の開発やインフラ管理まで担っていては、データの分析に時間を割けない。

 実はデル・テクノロジーズも似た状況に陥っていた。そこで同社がDXの柱の一つに掲げたのが、優れた開発環境の用意だ。これまで開発者の業務を圧迫していたのは、IT基盤が機械学習やデスクトップの仮想化といった目的別にサイロ化されて運用コストがかかっていたからだ。それらを1つに統合することで、DXの取り組みを加速した。

 IT基盤の統合化によって、ITインフラやソフトウェアの管理を自動化して開発者の作業効率を高められる。さらにマルチクラウド環境で使えるようにして業務に柔軟性を持たせた。そしてIT基盤の整備に合わせてクラウドネイティブに対応することが重要だと増月氏は話す。

 「クラウドネイティブへの対応が遅れるほど、ビジネスに影響が出ます。今後マルチクラウド環境が浸透すると、AIやアプリケーションは環境変化に対応できるようにアジャイルな運用が必要です。そこに対応できるのはクラウドネイティブなものです」(増月氏)

“AI基盤の鉄板構成”で成し遂げるAI活用

 こうした前提の下でデル・テクノロジーズが提供しているのが“AI基盤の鉄板構成”と銘打ったソリューション「Dell Technologies Validated Design for AI - AI for Virtualized Environments」だ。同社自身が検証した、AI活用に適したITインフラの構成をカスタマイズして提供する。

 提供している構成の一つが、米NVIDIAが提供するAI開発基盤「NVIDIA AI Enterprise」と、米VMwareの仮想化アプリケーション管理ツール「VMware Tanzu」を組み合わせたものだ。AIに特化したITインフラを統合し、必要なソフトウェアをコンテナ化することで煩わしい管理の手間を抑えつつAI活用の効果を得られる。

 今後はVMware Tanzuだけでなく仮想化ソフトウェアの管理ツール「VMware vSphere」や、米Red HatのKubernetes向けのコンテナプラットフォーム「Red Hat OpenShift」への対応を進める。大規模導入からスモールスタートまで幅広く使えるようになる見込みだ。

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Dell Technologies Validated Design for AI - AI for Virtualized Environmentsの構成(講演資料より、クリックで画像拡大)

AutoMLとMLOpsを優れた開発環境で実行 Validated Design for AIのラインアップ

 デル・テクノロジーズではこのValidated Design for AI - AI for Virtualized Environmentsの構成に、H2O Driverless AIを追加して全体の運用を調整した「Validated Design for AI - AutoML」を提供している。同社で検証済みの優れた開発環境に、AutoMLを加えることで誰でも手軽にAIモデルを作成できるようにした。

 さらにMLOpsに対応した「Validated Design for AI - MLOps」の国内展開を準備している。イスラエルのcnvrg.ioが手掛けるAI用OS「cnvrg.io」を採用し、AIモデルの再学習と精度の維持を強力に支援するものだ。

AI専門施設「AI Experience Zone」でソリューションを検証 無料で開放

 このようにデル・テクノロジーズでは、企業のAI活用を後押しすべく製品展開や情報発信を精力的に続けている。そんな同社が開設した無料のAI専門施設が「AI Experience Zone」(千代田区 大手町)だ。ここでは同社のAI専門家にAI活用のアドバイスをもらったり、Validated Design for AIなど同社が展開しているソリューションのデモンストレーションを見たりできる。

 「AI Experience Zoneは、ご紹介してきたAI活用のポイントを皆さまに無料で体験していただける場所です。今後、AI活用が重要だと感じられた方は、ぜひ足を運んでいただき、デモンストレーションを見たり、導入前に検証したりしていただきたいです」(増月氏)

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講演する増月氏

 さらにデル・テクノロジーズは、AIを活用したいと考えている企業と、その企業の課題解決に適したAIベンダーをマッチングする取り組み「Dell de AI “デル邂逅(であい)”プログラム」(以下、Dell de AI)を進めている。

 Dell de AIのパートナー企業と協力して、AI導入時のコンサルティングからAIソリューションの活用まで幅広くサポートする。これにより日本全体でAIのビジネス活用を広げていきたい考えだ。

 今回の増月氏の講演で、AI活用のハードルが大きく下がっていること、DXに適した開発環境に合わせたAIソリューションがあることが分かった。そして、そんなAI活用をデル・テクノロジーズがバックアップしてくれる。AI活用を検討している人は、デル・テクノロジーズに相談してみてはいかがだろうか。同社とDell de AIパートナーが相談に乗ってくれ、個別の課題に合った解決策を提示してくれるはずだ。

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Dell de AI(でるであい)とは──


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「AIをビジネスで活用する」──そう言い表すのは簡単です。しかし、組織にとって本当に価値のあるアクションへ落とし込むには、考えるべきことがあまりに多すぎます。誰に相談すればいいのか、どうすれば成果を生み出せるのか。「Dell de AI “デル邂逅(であい)”」は、そんな悩みを持つ企業や組織にポジティブな出会いや思いもよらぬうれしい発見──「Serendipity(セレンディピティ)」が生まれることを目指した情報発信ポータルhttps://www.itmedia.co.jp/news/special/bz211007/です。


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提供:デル・テクノロジーズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2022年11月20日

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