KADOKAWAのラノベで他小説との本文一致が発覚、回収へ アイデアメモの出典併記を失念
KADOKAWAはライトノベルレーベルであるMF文庫Jの書籍「恋と呪いとセカイを滅ぼす怪獣の話」で、別の小説と一部本文が一致しているとして謝罪した。この件を受け、KADOKAWAは書籍の回収を行うという。
KADOKAWAは11月14日、ライトノベルレーベル「MF文庫J」の書籍「恋と呪いとセカイを滅ぼす怪獣の話」(著者:さがら総)で、別の小説と一部本文が一致しているとして謝罪した。書籍は回収する。
新潮社が2014年に発行した書籍「いなくなれ、群青」(著者:河野裕)と一部本文が一致していた。該当するのは「恋と呪いとセカイを滅ぼす怪獣の話」の207ページの2〜4行目。
陽はずいぶん落ちていた。空の低い位置が、鮮やかな赤に染まる。赤は人工的な色だと思う。青よりもずっと人の手が入っているように見える。
頭上で消えゆく夕暮れ空は、はるか古い時代に人類が造り、いつしか忘れてしまった遺跡みたいだった。
「いなくなれ、群青」の209ページの7行目〜9行目には下記のような記載があるという。
陽はもうずいぶん落ちていた。空の低い位置が、鮮やかな赤に染まっていた。赤は人工的な色だと僕は思う。青よりもずっと人の手が入っているように見える。夕暮れ空ははるか古い時代に人類が作った遺跡みたいだった。
「恋と呪いとセカイを滅ぼす怪獣の話」の発売日は10月25日。その後27日に、著者のさがら総さんがTwitter上で作品の感想を検索したところ、「『いなくなれ、群青』と3行ほど文章が一致しているのではないか」という指摘を見つけたという。さがらさんが担当編集に連絡し、KADOKAWAから新潮社へ連絡し事態が発覚したとしている。
原因についてKADOKAWAは、さがらさんが使っていたテキストファイルの内容が整理されていなかったためと説明する。さがらさんは執筆のアイデアを保存するためにテキストファイルを使っており、「いなくなれ、群青」のフレーズもメモしていた。しかし、出典元の併記を失念、あるいは誤って削除し自身のアイデアと誤認。編集部も気付かず刊行に至ったという。
この経緯について説明を受けた、河野裕さんと新潮社は故意によるものではなく過失であると判断。謝罪と経緯公開について了承したという。今回の件を受け、KADOKAWAは「恋と呪いとセカイを滅ぼす怪獣の話」の回収を発表。また再発防止のため、今後の編集作業の見直しと著者への注意喚起などに取り組むという。
さがらさんは自身のTwitterアカウント(@sou_sagara)でも謝罪文を掲載している。一方、河野裕(@konoyutaka)さんもTwitter上でこの件について言及し、「この件に関して、私の姿勢は一貫して『経緯の説明に納得したので、問題視していない。書籍を回収する必要は感じない』なので、ちょっと残念な結果ではあります」と投稿している。
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