本当にミサイルが飛んできた時、どう行動する? :デジタル防災を始めよう
北朝鮮から相次いでミサイルが発射されている。実際にミサイルが日本の領土に落ちそうな状況となった時、われわれはどのように行動すれば良いのだろうか。
北朝鮮から相次いでミサイルが発射されている。10月4日には弾道ミサイルが日本上空を通過し、国内では「Jアラート」(国民保護に関する情報)が発信されて通勤・通学中の人々を驚かせた。もっとも、SNSで話題になったり一部交通機関に影響したりはしたものの、普段通りの通勤風景だった。
このときのミサイルは2022年に入ってから23回目。NHKなどの報道によると、北朝鮮の国営メディアは16日、10月のミサイルについて「敵に送る警告だ」と強調したという。
しかし国民の反応は鈍い。1993年のミサイル(ロケット)発射事案の時は国内の反応も大きかったが、度重なる発射により「またか」という状況になりつつある。すっかり慣れてしまった。
では、実際にミサイルが日本の領土に落ちそうな状況となった時、われわれはどのような行動を取れば良いのだろうか。政府や自治体はミサイル落下時を想定した行動指針を作り、パンフレットを配布したり、避難訓練を行ったりしている。中には北海道のように漫画リーフレットになっているものもあるので一度目を通しておきたい。
内容をかいつまんで紹介すると、個人レベルの対策としては「姿勢を低くして」「建物や物陰に隠れ」「頭部を守る」くらいしかないのが実情だ。これは地震の時と基本的に同じ。
北朝鮮のミサイルであれば、発射から日本に着弾するまでの時間は約5分といわれている。Jアラートが出てからは1〜3分と考えられるので、地震よりは時間的な余裕はあるはず。物陰に隠れて初撃のダメージを回避できたら、メディアから情報を得て避難する、というのが基本的な手順になる。
自治体による行動指針の例
個人の備え
仮にミサイルが都市部に落ちたとして、被害規模は中に入っている物次第で大きく変わる。最悪の事態まで想定するなら、個人レベルの対策は田舎に引っ越すか、市販の核シェルターを購入するくらいしかないだろう。
最悪の事態は回避できたとしても、対策は都市の機能がある程度奪われる前提で考えるべきだ。電気やガス、公共交通機関などインフラが止まった場合、あるいはパニックが生じて店頭から商品がなくなるといった場合に備え、自然災害と同様、ローリングストックなどの対策が有効になる。数日まかなえる備えを持っていれば生き延びる確率は格段に上がるはずだ。
もう1つ怖いのは流言飛語やデマなどに踊らされること。自然災害と異なり、ミサイルの場合は発射した敵国があり、しかも1発で終わるとは限らない。ネットが生きていれば「次にどこが攻撃される」「敵が攻めてくる」といった危機感をあおる情報が飛び交うことは容易に想像できる。
あるいは敵国が侵攻のために意図的にデマを発信することもあるだろう。個人レベルの対策としては、気になる情報に触れたとき、発信元を確認したり、別の情報源で確認することが重要だ。デマなどに踊らされることなく冷静に行動することが究極のデジタル防災といえるだろう。
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