中国VRの「PICO4」、「Meta Quest」に追いつくための2つの条件:浦上早苗の中国式ニューエコノミー(5/5 ページ)
中国・バイトダンス傘下の「Pico Technology」が9月下旬、VRヘッドセット「PICO 4」を発表した。VR市場は急成長しているが、ヘッドセットはMetaの「Meta Quest」シリーズがライバル不在の強さを見せる。PICO 4は市場の勢力図を変えることができるのだろうか。
ソニー、アップル……有力企業の参入も
もう1つの鍵は、ライバル企業の動向だ。これまではMetaがほぼ独占していたVRデバイス市場だが、急成長段階に入り、有力企業が続々と参入している。
ソニーグループのソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は今月2日、VRヘッドセット「PlayStation VR2(以下、PSVR2)」を23年2月22日に発売すると発表した。家庭用ゲーム機「プレイステーション5」と接続して使用するPSVR2は、現行機種の「PSVR」から約6年ぶりの次世代機種となる。
来年はAppleもVRヘッドセットを発売すると噂されており、Metaが今年10月に発売した「Meta Quest Pro」を含め、消費者とって選択肢が一気に増えることになる。
有力プレイヤーの新機種が出そろう23年は本当の意味で「VR元年」になるといわれる。PICO 4はコスパの高さが売りだが、ハードを使う必要性を消費者に感じてもらえなければ、ガジェットマニアのおもちゃに終わってしまう。
世界のブランド力ランキングでトップ10常連のソニーやAppleが新機種を出す前に、どれだけコンテンツをそろえられるかが、PICO 4の成功を左右しそうだ。
筆者:浦上 早苗
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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