中国VRの「PICO4」、「Meta Quest」に追いつくための2つの条件:浦上早苗の中国式ニューエコノミー(4/5 ページ)
中国・バイトダンス傘下の「Pico Technology」が9月下旬、VRヘッドセット「PICO 4」を発表した。VR市場は急成長しているが、ヘッドセットはMetaの「Meta Quest」シリーズがライバル不在の強さを見せる。PICO 4は市場の勢力図を変えることができるのだろうか。
中国では62%のシェアも世界では5%届かず
中国のVRデバイス市場でPicoは押しも押されもせぬトップメーカーで、22年1〜6月の出荷台数は35万台と62.5%のシェアを獲得した。一方、世界に目を向ければ同年1〜3月だけでVRデバイスの出荷台数は前年同期比241.6%増の356万台。Metaはそのうち90%のシェアを獲得し、2位のPico(4.5%)を大きく引き離す。
中国ではVRヘッドセットの使用シーンが限定的で、欧米に比べて市場が非常に小さい。Picoにとっては好機でもあり、課題でもある。同社は今年のVR製品の目標出荷台数を120万台に設定しているが、その実現のためには市場が大きい欧米や日韓への進出が不可欠だった。
ではPICO 4はどの程度の販売数が期待できるのか。中国の証券会社などはレポートで、「コンテンツの拡充が鍵」と分析している。
MetaはVRコンテンツに巨額の投資を続けており、消費者向けVRヘッドセットの最もポピュラーな用途であるゲームでは、Quest対応ゲームを1000タイトル以上用意している。対してPICO向けのゲームタイトルは300前後にとどまる。
Picoは親会社のバイトダンスがエンタメに強いことから、当面は(ユーザーの選択によって内容が変わる)インタラクティブドラマとフィットネスコンテンツを拡充していく。製品発表会では人気SF小説『三体』(英語版「Three-body Problem」)を原作とするインタラクティブドラマが23年、PICOシリーズで視聴できるようになると発表された。
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