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宇宙研究用の電波望遠鏡「アルマ」にサイバー攻撃 10月から観測不能な状態に
国立天文台は、電波望遠鏡「アルマ望遠鏡」について、チリにある計算機システムが10月にサイバー攻撃を受け、科学観測などが約1カ月停止している状態だと発表した。
国立天文台は11月22日、電波望遠鏡「アルマ望遠鏡」について、チリにある観測所の計算機システムが10月にサイバー攻撃を受けた影響で、科学観測などが約1カ月停止している状態だと発表した。現地当局が原因などの調査を続けており、年内の観測再開を目指している。
サイバー攻撃を受けたのは10月29日。攻撃の発覚後、アンテナや科学データのアーカイブシステムなどを切り離したが、通信などに使う計算機が影響を受け、全ての観測を停止さぜる得なくなったという。チリにある観測所のWebサイトも影響を受け、停止している。
電子メールの利用は22日までに再開。新しい共同作業用ツールも導入したことから、職員は普段通りの業務を行えているという。観測所の危機管理チームは、欧州南天天文台と国立天文台、米国国立電波天文台のサイバーセキュリティ担当者と協議し、復旧計画を策定している。
アルマ望遠鏡はチリの標高5000mの高地に建設。2011年から科学観測を開始している。日本の国立天文台を含む世界22カ国が運用しており、宇宙の謎の解明に向け、星や惑星の材料となるちり・ガスが発する電波の観測に使われている。
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