現在のAI契約書レビューは「適法」の可能性大、ただしAIが中身を評価するならグレー 内閣府WGで
現在のAI契約レビューはあらかじめ決められた文言を契約書内の文章とマッチングさせるもので、ならば適法の可能性が高い。ただしAIが中身を評価するならグレー。そんなやりとりが内閣府のWGで行われた。
普及が進み始めた、AI契約書レビュー。契約書の内容について、問題点の洗い出しや変更したほうがよい点を推奨してくれるものだ。ただし「弁護士以外が法律事務を取り扱うことを禁じる」、弁護士法72条との兼ね合いが波紋を呼んでいる。
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内閣府が11月11日に実施した「規制改革推進会議 第2回スタートアップ・イノベーションワーキング・グループ」では「契約書の自動レビューと弁護士法」について議論された。業界団体であるAI・契約レビューテクノロジー協会や、弁護士ドットコム、有識者などが意見を述べた(記事参照)。
現在、AI契約レビューを提供するLegalForce、リセ、GVA TECH、MNTSQの4社が参加するAI・契約レビューテクノロジー協会は、現在の技術について「事前に設定または学習した言語情報と、契約書内の言語情報を、言語的類似性を踏まえて識別・分別などを行うものに過ぎない」と主張している。つまり、あらかじめ決められた文言を契約書内の文章とマッチングさせるものだという主張だ。
12月5日に公開された議事録によると、「契約書があらかじめプリセットされたものと比較して、これが一致している、一致していない、ある、なしというような結果が機械的に表示されるものは問題がないのか」という堀天子専門委員の問いに対し、法務省は「御指摘のような場合が多い」と、弁護士法72条の観点から問題ない場合が多いと回答した。
一方で、AIが契約書の中身を読んで評価をするようなものは、法的な類似性の比較表示となり、グレーであるとした。
AI・契約レビューテクノロジー協会は「大量の契約書データを機械学習にかければ、ソフトウェアが賢くなり、正確に契約書をレビューしてくれるようになるという技術は実用化されていない」と指摘。現在のAI契約レビューは人間の弁護士が行うレビューとは根本的に異なるとしている。
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