進化するAI、人間がこの先生きのこるには? AIが描いた“コレジャナイ絵”を改良しながら考えた(1/3 ページ)
AIの進化が止まらない。その能力は「人間を超えるかもしれない」と思わせるレベルに高まってきている。だが、現状のAIには限界がある。自分で判断できない“指示待ち”だし、その指示が適切でなければ、良い結果は期待できない。
AIの進化が止まらない。その能力は「人間を超えるかもしれない」と思わせるレベルに高まってきており、人間の仕事が奪われる懸念もリアルに迫ってきている(関連記事:AIスゴっ! 下手な漫画が秒で“プロ並み”に 「ネームだけで原稿完成」の時代に?)。
だが、現状のAIには限界がある。自分で判断できない“指示待ち”だし、その指示が適切でなければ、良い結果は期待できない。
指示が雑だと悲劇が起きる。例えば、画像生成AI「Midjourney」に「いい感じのクリスマスの絵」(a nice xmas picture)を描いてもらった。
薄暗い室内で、疲れた顔のサンタ(?)が、ツマミ片手にビールを飲んでいる。
全然いい感じじゃない……。
同じプロンプト(指示、いわゆる“呪文”)で何度か出力を試したが、暗いイメージばかりで、日本のクリスマスっぽい、キラキラした雰囲気が出ない。
AIへの指示をどう変えれば、もっと「いい感じ」の画像になるだろうか。試行錯誤の過程を紹介しながら、AI時代に必要な人間の能力について考える。
「AI=人間の部下」? 指示は具体的に、相手の立場に立って
「いい感じ」と言われてもよく分からないのは、人間でも同じだ。「いい感じにやっといて」と部下や後輩に指示したとして、期待通りの結果が出るほうがまれだろう。むしろ「AとBやっておいて。Dを参考にしてね」などと具体的な指示を出せば、より良い結果につながるはずだ。
「いい感じのクリスマスの画像」で考えてみよう。筆者は「いい感じのクリスマス」として、“サンタの1人飲み”ではなく、明るいイメージを浮かべていた。笑顔のサンタが、トナカイのそりで夜空を飛び、プレゼントを運んでいる……といったような。
こんな感じだ。ここまでイメージを具体化した上で、要素をピックアップし、AIの指示(プロンプト/呪文)に反映してみた。
「空、トナカイ、サンタクロース、笑顔、プレゼント」(sky, reindeer, santa claus, smile, gifts)
イメージは多少伝わったが、サンタがどアップすぎて、ちょっと怖い。サンタとトナカイとそりが溶け合った新種の生物も現れてしまった。
情景の指示が不足していたのかもしれない。さらに具体的な指示をプロンプトに追加しよう。
「広い夜空を、サンタがトナカイのそりに乗って、プレゼントを持って、笑顔で飛んでいる」(In the wide night sky, Santa is flying on a reindeer sleigh, carrying presents, and smiling. )
イメージに近づいてきた!
ただ、サンタはもう少し小さく、空を広々とさせたいし、リアルすぎる描写を、絵本のような柔らかいタッチにしたい……が、どう指示すれば良いか分からない。
そこで、Midjourneyで1万枚以上画像を生成してきたブロガーのkobeniさんに、コツを聞いた。
「カメラアングルを最初に指示するといいですよ。写真なのか、イラストなのかといったタッチや、縦横比のイメージがあれば、最後に入れてください」
さらに、こんな提案ももらった。「トナカイは1頭ではなく複数がいいかも?」「画風のイメージがあるなら、作家名を入れるといいですよ」
完成したプロンプトがこれだ。
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