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「技術を盗まれた」「報酬を減らされた」──公取委、スタートアップ巡る取引問題の調査結果を発表

公正取引委員会が、スタートアップ企業を巡る取引の問題に関する調査結果を発表した。スタートアップからは「営業秘密を盗まれ競合製品を売り出された」「報酬の減額や支払遅延があった」などの報告が寄せられた。

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 公正取引委員会は12月23日、スタートアップ企業を巡る取引の問題に関する調査結果を発表した。スタートアップからは「営業秘密を盗まれ競合製品を売り出された」「報酬の減額や支払遅延があった」などの報告が寄せられた。

 同委員会は取引・契約実態について尋ねる書面調査と、一部事業者への立入調査を実施。回答はスタートアップ791社、連携事業者・出資者5052社から得られた。

 連携事業者との取引において、「PoC(技術検証)の成果ややり直しに対する報酬が払われなかった」「報酬の減額や支払遅延があった」などの問題が報告された。特にスタートアップと連携事業者の間で報告数に差が出たのは以下の項目。

  • 「PoC(技術検証)の成果ややり直しに対する報酬が払われなかった」(スタートアップ10社、連携事業者2社)
  • 「共同研究の大部分を担当したにもかかわらず、知的財産権を連携事業者のみ、スタートアップ・連携事業者の双方に帰属させる契約の締結を求められた」(スタートアップ10社、連携事業者2社)
  • 「報酬の減額や支払遅延があった」(スタートアップ19社、連携事業者4社)
  • 「事業連携の成果による商品やサービスの損害賠償責任を負わされた」(スタートアップ7社、連携事業者1社)
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具体的な事案の例

 出資者との取引においては、「契約にない無償での作業を求められた」「著しく高額な株式買取請求権を設定するよう求められた」などの問題が報告された。特にスタートアップと出資者の間で報告数に差が出たのは以下の項目。

  • 「契約にない無償での作業を求められた」(スタートアップ6社、出資者2社)
  • 「不要な商品・サービスを購入するよう求められた」(スタートアップ5社、出資者0社)
  • 「著しく高額な株式買取請求権を設定するよう求められた」(スタートアップ8社、出資者0社)
  • 「不当に株式買取請求権を行使された」(スタートアップ5社、出資者0社)
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具体的な事案の例

 その他、連携事業者・出資者を問わず「NDA(秘密保持契約)に反して営業秘密を盗まれ、競合商品・サービスを販売された」という問題をスタートアップ7社、連携事業者・出資者1社が報告した。

 調査結果を受け、公正取引委員会は2022年3月に策定した「スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針」の周知徹底を図るとともに、違反行為についての情報収集と対処を進める。特に化学工業・情報サービス業・銀行業・金融商品取引業・商品先物取引業は重点的に指針を周知するとしている。

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