iPhoneだけではない、アップルジャパン140億円追徴課税の裏で暗躍する中国人転売ヤー:浦上早苗の中国式ニューエコノミー(4/6 ページ)
22年12月、アップルジャパンが消費税を追徴課税されたと報じられた。免税の対象にならない「転売目的の購入」を見抜けなかった責任を問われたとみられている。取り締まる当局と転売ヤーのいたちごっこはこれまでも繰り返されているが、今後、中国人転売ヤーはどうなるのだろうか。
当時中国人向け代購を営んでいた都内在住の日本人男性は、「アルビオンの限定化粧品を求めて千葉や八王子の百貨店に足を運んでいた。百貨店で買ったことを証明するため、レシートだけでなく店員とツーショット写真を撮って送ることもあった」と話す。
「代購」で売れる商品は多岐にわたる。この日本人男性は「限定販売の記念Suicaも人気が高く、親せきと知人に頼んで買えるだけ買った」と振り返る。
当時中国在住だった筆者は、一時帰国の度にそれを嗅ぎつけた友人たちにさまざまな買い物を頼まれた。ひげ剃り、美顔ローラー、高級化粧品、カメラのレンズ、ファンケルのサプリメント、日焼け止め……さらには日本で買った時計の修理を依頼されることもあった。
「代購」の中でもiPhoneは特別だ。
iPhone 6が発売された14年9月、世界各地のアップルショップに中国人客が列をつくり、大きなニュースになったのを覚えている人もいるだろう。中国での発売が日本や米国、オーストラリアなどより1カ月遅れたため、いち早く手に入れて中国で転売しようと考えた人々が海外のアップルショップに押し寄せたのだ。
その後、アップルは中国市場重視に転じ、新iPhoneは日本や米国と同じ日に発売されるようになったが、人気色や人気モデルは一瞬で売り切れ、手元に届くまで1カ月以上かかることもあるため、転売目的の海外での購入は今も続く。
新iPhoneが発表されると、各国での定価と為替を比較、どの国で買うと一番お得になるかといった情報も出回る。円安の時期に日本で免税購入すると機種によっては中国で買うより1万円以上安くなることもある。
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