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iPhoneだけではない、アップルジャパン140億円追徴課税の裏で暗躍する中国人転売ヤー:浦上早苗の中国式ニューエコノミー(3/6 ページ)
22年12月、アップルジャパンが消費税を追徴課税されたと報じられた。免税の対象にならない「転売目的の購入」を見抜けなかった責任を問われたとみられている。取り締まる当局と転売ヤーのいたちごっこはこれまでも繰り返されているが、今後、中国人転売ヤーはどうなるのだろうか。
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アップルジャパンが転売目的のiPhone購入を見抜けず、免税で販売したとして追徴課税された本件。大手マスコミの記者によると「主な購入者は中国人」「1人で数百台購入した例もあった」という。
日本で購入した品物を中国で高値で売る「転売ヤー」は中国語で「代購(ダイゴウ)」と呼ばれ、13年ごろから在日中国人の間でポピュラーな小遣い稼ぎの手段になった。
代購が普及した背景はいくつかある。まず中国人の消費力が向上し、品質の高い海外商品へのニーズが拡大した。日本の商品はとりわけ人気が高く、インフルエンサーがSNSで情報発信するようになると、売れ筋も広がった。
モバイル決済、SNS、ECの発達で、個人が簡単に店を構え、宣伝できるようになったことも大きい。また10年代半ばに空前の円安となり、日本の商品の割安感が高まったのも、代購の追い風になった。
当初、中国の消費者が「代購」に求めていたのは「本物保証」だった。中国にもアリババをはじめと多くのECプラットフォームがあったが、偽物をつかまされることを恐れた消費者は日本在住者に百貨店などで購入してもらい、本物である保証を得ようとした。
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