話し方で「飲みすぎ」か分かるAI 12秒の会話で酩酊状態を特定:Innovative Tech
オーストラリアのLa Trobe UniversityとDeakin Universityに所属する研究者らは、12秒間の発話に基づいて個人の酩酊(めいてい)状態を予測できる機械学習モデルを提案した研究報告を発表した。
Innovative Tech:
このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
オーストラリアのLa Trobe UniversityとDeakin Universityに所属する研究者らが発表した論文「Audio-based Deep Learning Algorithm to Identify Alcohol Inebriation(ADLAIA)」は、12秒間の発話に基づいて個人の酩酊(めいてい)状態を予測できる機械学習モデルを提案した研究報告である。
急性アルコール中毒は、認知・精神運動能力を低下させ、交通事故や暴力など、さまざまな公衆衛生上の危険を引き起こす。酩酊者は通常、呼気測定器を用いて血中アルコール濃度(BAC)を測定することによって識別できる。
今回はマイクに向かって12秒間発話するだけで、アルコールが法定基準値を超えたかどうかを判別する深層学習モデル「ADLAIA」を提案し、呼気測定器の代替を目指す。
このモデルは、アルコールを飲んだ人と飲んでいない人を合わせて、合計162人、1万2360の音声クリップで構成すデータセット(言語はドイツ語)で学習した。
学習したモデルをテストした結果、BAC0.05%以上の酔った人の話者を67.67%の精度で識別することができた。また、BAC0.12%以上の酔った人の識別では、75.7%の精度で識別することができた。
性能をさらに向上させれば、モバイルアプリケーションに組み込んで、アルコール酔いした人をスマートフォンなどで手軽に検知できる可能性があるとしている。
Source and Image Credits: B.E.R.T. BONELA, Z.H.E.N. HE, A.I.D.E.N. NIBALI, T.H.O.M.A.S. NORMAN, P.E.T.E.R.G. MILLER, E.M.M.A.N.U.E.L. KUNTSCHE, Audio-based Deep Learning Algorithm to Identify Alcohol Inebriation (ADLAIA),
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