「IEでしか使えないVPN」に困って認証基盤を刷新 システム老朽化に直面したセガサミーHDのAWS移行:クラウド事例ウォッチ
セガサミーホールディングスが、協力会社との情報共有システムをAWS移行。旧システムには「IEでしか使えないVPNが必須」などの課題があったが、クラウド化と同時に認証基盤を刷新して解決したという。
セガサミーグループの持株会社・セガサミーホールディングス(HD)。同グループが手掛けるパチンコやパチスロの開発・販売事業では、機体の出荷・回収を手掛ける運送業者との情報共有に使うシステムの老朽化が課題だった。「IEでしか使えないVPNが必須」などの問題があったが、2022年10月に提供基盤をAWS移行。同時に新たな認証基盤を導入して解決したという。クラスメソッドが2月3日に発表した。
今回クラウド移行したシステムは、協力する運送会社がパチンコ・パチスロをいつ何台納品するか、回収するかを管理するシステム。運送会社がそれぞれの端末にVPNを設定し、セガサミーHDのオンプレミスサーバに接続する仕組みだ。
このうち、課題があったのはVPNだった。運送会社ごとにITスキルにバラつきがあり、PCの交換などがあるたびセガサミーHDへの問い合わせが急増。アカウント管理が複雑化し、同社のユーザーサポート部門から「もうやめられないか」といった声が出るほどだったという。
保守期限が近づいていた他、認証の問題で、当時サポート終了が近づいていたインターネットブラウザ「Internet Explorer」でしかVPNを利用できない点も問題だった。そこでシステムを刷新し、基盤をAWSに移行することに決めた。AWSを選んだのは、先行事例などの情報が得やすかったためという。
移行は22年1月から9カ月かけて実施。AWS化と同時に、新たな認証基盤「Auth0」も導入し、“脱VPN”を実現した。これにより運送会社がトラブルなくシステムを利用できるようになり、VPNについての問い合わせも減ったという。
クラスメソッドとの協力の結果、AWSを活用した自社開発・自社運用のノウハウも蓄積。セガサミーHDは今回の経験を基に、基幹システムの移行なども検討するという。
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