オラクルが日本のクラウド市場で抱える課題 Microsoftとのマルチクラウド、なぜ加速
他社クラウドとOracle Cloud Infrastructureの連携を加速する米Oracle。中でもAzureとの連携には注力している。日本市場においては、後発であるOCIの弱点を補う効果も期待しているという。
AWSやAzureなど、他社クラウドとOracle Cloud Infrastructure(OCI)の連携を加速する米Oracle。中でも米Microsoftとの連携については、ネットワーク設定なしでAzureと接続できるデータベースを2022年に発表するなど力を入れている。日本市場においては、後発であるOCIの弱点を補う効果も期待しているという。2月7日のメディア向け説明会で、日本オラクルの竹爪慎治常務執行役員が連携の狙いを明かした。
竹爪常務によれば、Oracle製データベースなどのユーザーは流通・製造業の企業が多いという。クラウド移行の際、日本オラクルに相談する企業は少なくない。一方でデータベースの移行を望むユーザーは、後発のOCIではなくAWSやAzureをすでに導入しているケースが多いという。
データベースだけならともかく「アプリケーションごとOCIに持ってきてください、といってもなかなか進められない」と竹爪常務。業務用のアプリケーションはAzureで動かしつつ、データベースにはOCIを活用し、両者を円滑に連携させたいといった要望が多いのが実態という。
実際、2社が提供するサービスのユーザー層はある程度共通していると竹爪常務。そこでAzureとOCIの連携を加速し、相互接続性を強化したり、データの管理や移動をしやすくしたりことで、マルチクラウドでの利用を促進する戦略だ。
「共通のユーザーが多いということは、各サービスに関するナレッジやスキルを持つエンジニアも多い。そういったリソースを活用していけるのは、Microsoft以外の企業と組むのとは違う点」(竹爪常務)
2社はすでに、連携しやすいデータベースの提供や、世界12カ所のリージョンでの相互接続などを進めている。日本においては、クラウド移行を手掛けるSIerなどとの連携も強化。AzureとOCIの連携を前提とした移行サービスなどを支援していくという。
関連記事
- どうなる? 2023年の国内サーバ市場 デル副社長が語った6つの見通し
パブリッククラウド普及や電気代高騰で揺れる国内サーバ市場。デル・テクノロジーズによる今後の見通しは。 - IIJの「技術工作室」が面白い ITエンジニアと業務部門が一緒に試行錯誤、困りごと解決しつつ技術力向上
ITエンジニアと業務部門が一緒に試行錯誤し、社内課題に取り組む──IIJの「技術工作室」では、こんな取り組みを行っている。技術力の向上などを見込む技術工作室の裏側をキーパーソンに聞く - サーバなどの維持管理費を3割削減へ 大日本印刷が基幹システムをOracle Cloud化
大日本印刷が基幹システムをオンプレミスとOracle Cloudのハイブリッドクラウド化。サーバの導入や維持管理にかかる費用を3割削減できる見込みという。 - 始まるガバメントクラウド移行、自治体に求められるセキュリティ対策は
政府やデジタル庁が主導する「ガバメントクラウド」。すでに一部自治体が移行・利用を進めており、今後拡大する見込みだ。一方で、移行に伴う現場の混乱も予想される。特に不安が生まれるのはセキュリティだ。 - 「職員室でしかPCが使えない」 “生徒1人にPC1台”の裏で、進まぬ教育現場のデジタル化 意識改革が必要なのは誰なのか
“生徒1人にPC1台”施策の裏で、まだ進まない教育現場のIT活用。実現に当たって意識改革が必要なのは教師か、教育委員会か、自治体か。問題の本質を教育現場や有識者への取材から探る。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.