どうなる? 2023年の国内サーバ市場 デル副社長が語った6つの見通し
パブリッククラウド普及や電気代高騰で揺れる国内サーバ市場。デル・テクノロジーズによる今後の見通しは。
電気代の高騰や半導体不足、パブリッククラウドの浸透などの影響を受け、揺れ動くサーバ市場。MM総研による22年の調査では、国内PCサーバー出荷台数は19年から連続で減少しているという。
ただし出荷金額は3年ぶりに好転。デル・テクノロジーズの松本光吉副社長も「昨年来、半導体の需給や、為替の変動、マーケットは非常に変動性が大きかったが、台数よりも出荷金額の伸びが大きい」と振り返る。
背景には、AI・HPCを活用したシステムや、大規模プライベートクラウド、5Gの高速通信を生かすエッジサーバの利用が増え、より大容量化・高密度化したサーバの需要が高い現状があるという。現況を踏まえ、2023年の国内サーバ市場はどう変化していくか。同社が1月24日にオンライン開催した「サーバー市場展望発表会」で、松本副社長が6つの見通しを語った。
オンプレ回帰、地政学リスク……国内サーバ市場、6つの見通し
松本副社長は今後の展望として、(1)サーバの用途多様化、(2)オンプレ回帰、(3)地政学リスクの考慮、(4)電力消費量の削減需要増、(5)“aaS化”への要求、(6)リスク管理への需要増──を見込んでいるという。
(1)については、AI・HPCシステムや、エッジサーバ、プライベートクラウドの需要が今後も続く見込みとしている。特にプライベートクラウドについては「クライアントによるハイパースケーラー(大手クラウドベンダー)との比較検討が具体的になってきた。これからさらに注力を求められてくる。すでに万台を超える規模の運用を支えるなど、未体験の領域に入っている」(松本副社長)
(2)についても同様に、クラウドの利用を経験したユーザーが、部分的なオンプレミスの利用を検討すると予測。オンプレ回帰に伴い「クラウドに慣れたクライアントは、サーバに対する運用自動化・簡便性の期待値がさらに高まっている。サーバの運用や、サービスの従量課金化などの重要性が高まる」としている。
(3)については、地政学的リスクを踏まえ、製品供給網の耐久力・回復力が求められるようになると予測。クライアント側も、より体力のあるベンダーを選ぶようになると分析している。
(4)については、東京電力の電気料金値上げなどを例に挙げ、電力需給ひっ迫がリスクになる見方を示した。サーバの冷却効率の上昇や、データセンター全体の省電力化がより求められるという。
(5)については、(1)〜(4)で挙げた要素を含め、ビジネスの不確実性を招く要素が今後さらに増えると予想。これにより、いわゆる「as a Service」のように、より高い即時性・流動性がITリソースに求められるようになるとしている。(6)については、DX促進の影響で、リスク管理やセキュリティの需要が高まるとしている。
「魔法の戦略ではない」 6つの見通し、デルの対応は
一連の見通しを踏まえ、デル・テクノロジーズは既存サービスの強化や方向転換を進めている。例えば大規模なプライベートクラウドプロジェクトに対応できる体制を整えている他、as a Service型の製品群「Dell APEX」の機能を拡充するという。
中でもDell APEXでは、これまでストレージ機能のみを提供していたところ、2023年後半にサーバとして使える機能も提供する方針だ。他にも中堅・中小企業のDX推進に向けた勉強会なども展開していくという。
「それほど魔法の戦略だとは思っていない。きちんと新しいテクノロジーをクライアントに伝えられるよう、まずは社員が知識を身に付け、適材適所に提案できるようにする」(松本副社長)
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