日米のDX進捗率を細かく比較 IPAが「DX白書」無償公開 「日本企業はまだデータ利活用の基礎段階」(2/2 ページ)
情報処理推進機構(IPA)は日、日米企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の動向を比較調査した解説書「DX 白書 2023」のPDF版を無償公開した。米国と比較して、日本企業はまだデータ利活用の基礎段階にある傾向などが明らかになったという。
「日本はまだデータ利活用の基礎段階」
技術面の調査として、ITシステム開発技術の活用状況を調べたところ、「SaaSを活用している」と答えた日本企業は40.4%、米国は53.4%だった。一方、「マイクロサービス/API」は21.1%(米国57.5%)、「コンテナ/コンテナ運用自動化」は10.5%(同52.1%)と、米国と比べて大きな差があり、技術の活用度合が低い傾向にあった。
一方データ利活用では日本が米国より進んでいるとの結果が出ている。日本企業では「データ利活用をしている」は55.0%、米国では52.3%であった。ただし、売り上げの増加に結びついているわけではないようだ。「接客サービス」「コールセンター」など7領域全てで「成果がある」と答えた日本企業は10〜30%だったのに対し、米国では60〜80%の企業が成果ありと答えた。
また7領域全てで「成果を測定していない」と答えた日本企業の割合はそれぞれ50%前後だった。このことからIPAは「日本企業はまだデータ利活用の基礎段階である」とし「取り組み成果を測定し、取り組みの改善・成果創出につなげていくことが必要である」と分析している。
「経営者をはじめとしたあらゆるビジネスパーソンがこの白書を参照し、自社のDX推進に必要となる戦略策定、人材確保、デジタル技術の利活用について具体的な手だてを検討していくことで、日本企業のDX推進が加速することを期待したい」(IPA)
アンケート調査は、日本企業543社(調査期間22年6月28日〜7月28日)と米国企業386社(調査期間22年7月12日〜26日)を対象に行った。
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