ラック、5年かけた基幹システムの刷新を断念 特損18億円
ラックが、2018年から進めていた基幹システムの刷新を中止。開発していたシステムでは求める機能が得られないことから、中止して新システムとして再構築する。これにより、同社は2023年3月期の連結業績で18億2000万円を特別損失として計上する。
ラックは2月13日、2018年から進めていた基幹システムの刷新を中止したと発表した。開発していたシステムでは求める機能が得られないことから、中止して新システムとして再構築するという。同社は今回の開発中止により、2023年3月期(22年4月〜23年3月)の連結業績で18億2000万円を特別損失として計上する。
ラックは12年に子会社2社を吸収合併。それぞれが運用していたシステムの統合や、老朽化していたシステムの刷新が必要になり、18年から新しい基幹システムの企画・開発を進めていた。
当初は2020年10月の運用開始を目指していたが、追加の開発などにより延期。さらに「テレワークなどによる働き方の多様化や、クラウドを活用したデジタル化の進展など社会・経済活動が急速に変容し、環境変化への柔軟な適応が必須であるものの、現時点で開発しているシステムでは、求める機能が十分に得られない」(同社)と判断したことから、中止に至ったという。
併せて2023年3月期の通期連結業績予想も下方修正した。売上高は500億円から430億円に、営業利益は21億円から16億円に、純利益は14億1000万円の黒字だったところを3億円の赤字に修正。システム開発中止の特損が影響した他、「セキュリティソリューションサービス事業とシステムインテグレーションサービス事業とも製品関連が低調に推移するとともに、サービス関連が想定したほどの伸長を期待できない」(同社)という。
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