経産省、重レアアース獲得に初出資、約181億円 中国に頼らない流通網の開拓狙う
経済産業省は、重レアアース(重希土類)の権益獲得を目指し、約181億円の出資を行うと発表した。重希土類を対象とした資金支援は日本初。
経済産業省は3月7日、重レアアース(重希土類)の権益獲得を目指し、約181億円を出資すると発表した。重希土類を対象とした資金支援は日本初。まずは所管する行政法人が双日と共同設立した企業・日豪レアアースを通して豪Lynas Rare Earths Limited(以下、ライナス)が行う重希土類の生産事業などに総額2億豪ドル相当(約181億円、1豪ドル=90.8円で計算)を追加出資する。
レアアースとは、レアメタルの一種で、17種類の元素(希土類)の総称。希土類の中で原子量が大きいものを重希土類といい、小さいものを軽レアアース(軽希土類)という。レアアースの中には、電動自動車の生産に不可欠な材料である「ネオジム」、HDDガラス基板などの研磨剤や自動車用排ガス触媒に使われる「セリウム」や「ランタン」などがある。
ライナスは、豪州のマウント・ウェルド鉱山でレアアース鉱石を採掘している。日本にも軽希土類を供給しており、モーター用磁石の主原料になっているという。
出資金はライナスによる軽希土類の増産や、鉱石から重希土類を取り出す事業などに使われる予定。出資に伴い、ライナスでは重希土類「ジスプロシウム」と「テルビウム」の生産も始める。この2つのレアアースは磁石に耐熱性を付与する特性を持つ。
現在、これらを生産しているのは中国のみだが、追加出資を通じて日本へのさらなる安定供給を目指す。今後、脱炭素化の観点から磁石の需要拡大が見込まれることから、ライナスの生産能力を拡大し、軽希土類の長期的な安定供給にもつなげるという。
日豪レアアースを設立した独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と双日は、ジスプロシウムとテルビウムについて、生産量の最大65%日本向けに供給する契約をライナスと結んだ。この数は国内需要の3割程度に相当するという。
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