仕事で使うGPT-4実践テクニック 実際に「AIアートグランプリ」の事務局で使ってみた:清水亮の「世界を変えるAI」(1/5 ページ)
第一回AIアートグランプリの興奮もさめやらぬなか、GPT-4があっさりと公開。せっかくなので、まずは第一回AIアートグランプリの報告書をGPT4にまとめてもらってみる。さらにChain of Thoughtでキャッチフレーズを考えさせるなど、事務局の仕事に活用してみた。
去る3月12日、第一回AIアートグランプリの最終審査会と表彰式が秋葉原UDXシアターで執り行われた。
筆者も事務局の末席として参加させていただいた。駆け足で企画・実行されたイベントだったため、慌ただしくもあったが、急遽招聘(しょうへい)された審査員の先生方の奮闘や、共催のドスパラ(サードウェーブ社)のご協力もあり、最終的には素晴らしい作品が集まり、非常に注目を集めるイベントとなった。
当日は、NHKニュースを始め、各媒体にAIアートグランプリの記事が掲載され、テック系インフルエンサーたちの動画として取り上げられるなど、「プチバズ」った状態にまで持っていけてひとまずは胸を撫で下ろしている。
優勝した松尾公也(松尾p)さんが、亡き妻の遺言に基づき、生前の音声と写真をAIに学習させ、歌い上げた「Desperado」に胸を打たれた参加者は多かった。
当日のプレゼンではその話は出なかったが、後日聞いたところによると、もともと奥様が18歳の頃、バンド内交際から結婚に発展し、歌うことは彼らカップルにとっては日常だった。松尾さんの奥様が余命宣告をされたとき、IT関係の仕事をしていた夫の松尾公也さんに「自分の生前のデータを使って、いつか貴方も亡くなる時に、二人のデータをデュエットとして使うことをライセンス条件に、そんなソフトを配布できれば、二人はずっと一緒に歌っていられる」というようなことを言われたそうだ。以来10年間、松尾公也さんは亡き奥様の生前のデータをもとに100曲を超える曲を手掛けてきた。
この作品のインパクトは大きく、当日取材に来れなかった民放や雑誌、そのほかさまざまなメディアからの取材が松尾さんのもとに殺到しているという。
松尾さん以外の準グランプリ4作品のいずれも白眉だが、特筆すべきは最終審査会におけるプレゼンの質の高さだったと思う。進行の都合上、5枚のスライドか5分間の動画で作品の制作過程を参加者が説明するのだが、そのどれもがひとつの作品と呼べるほどに素晴らしいものだった。
最終審査会の様子はプレゼンテーションも含めYouTubeで公開されている。どのプレゼンも必見なのでぜひご覧いただきたい。
なかでも、圧倒的なクオリティで審査員を唸らせたのが機能美pさんで、機能美pさんの作品「そんな話を彁は喰った。」という作品をめぐって、審査会は最後まで紛糾した。この作品の完成度の高さはもちろん、内容の面白さ、充実ぶりにこれぞグランプリと推す声がある一方、プレゼンの中でみずからが語った、「AIを2%しか使わず、ほぼ全て人力」によって作られた作品をグランプリにしてしまうことで大会の方向性がぶれてしまうのではないか、という論点で激論が交わされた。
審査委員長は河口洋一郎東大名誉教授。メディアアーティストの先駆者であり、CGを使った芸術表現に世界でいち早く取り組んだ人物だ。審査員に名を連ねるのは、「のぼうの城」「シン・ゴジラ」などの監督で知られる樋口真嗣、「灰羽連盟」や「serial experiments lain」といったアニメ作品のキャラクターデザインを手掛け、その画風が広く影響を与えたことで知られるイラストレーターで漫画家でもある安倍吉俊、テレビアニメ「シティハンター」や「名探偵コナン」のプロデューサーとして知られる諏訪道彦、そしてAI関連の法務に詳しい柿沼太一弁護士といった歴々である。
彼らが実に真剣に「AIを使ったアートとはどうあるべきか」「日本が大切にすべき芸術表現とはなにか」「新世代を拓くAIアートのありかたとはなにか」を真正面から捉え、真剣に議論を重ねるなかで、「生成AIの否定」というべき機能美pさんの作品と、まさに「究極の自己表現としてのAIの活用」を見事に見せてくれた松尾pさんの作品のどちらがよりグランプリにふさわしいかということが時間ギリギリまで議論された。
最終的に、「審査員特別賞」という賞を急遽新設し、作品として頭ひとつ抜けていたことを記録に残すことでなんとか審査会の合意が得られた。現場は大混乱に陥ったが、それは博士号を持つ大女優、司会のいとうまい子さんの見事な機転と演出で乗り切った。
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