ChatGPTが国会にも登場、質問案を作成 岸田総理 vs.AI で答弁の比較も 誠実なのはどっち?
2022年にAIチャットbot「ChatGPT」が出現して以降、多くのユーザーが利用し話題になっている。このほど国会議員がChatGPTで質問を作成し、岸田文雄内閣総理大臣に問いかける一幕が見られた。
AIチャットbot「ChatGPT」が話題になる中、国会議員がChatGPTで質問を作成し、岸田文雄内閣総理大臣に問いかける事例が登場した。質問をしたのは立憲民主党の中谷一馬議員。「国会でAIが生成した質問を問いかけ、総理が答弁した事例はこれまでない」と説明している。
ChatGPTの質問が登場したのは、3月29日の衆議院内閣委員会。中谷議員は新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案に関する質問をChatGPTで作成し、岸田総理に投げかけた。中谷議員が入力したというプロンプトは以下の通り。
「あなた(ChatGPT)が日本の衆議院だとした『新型インフルエンザ対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案』に関して岸田文雄総理大臣へ国会でどんなことを質問すべきだと考えていますか」(原文ママ)
中谷議員はChatGPTが生成した質問の中から1個を選び、「改正法案に関して、地方自治体や医療現場の関係者の意見を十分に反映させているのかどうか、そして改正法案に対する関係者の反応について教えてください」と質問した。
岸田総理は「今回の法改正は、医療現場など関係者の声を反映して整理した課題を踏まえて立案されたもの」と回答。法案に対する反応については「関係者から上がった要望に十分に応えている」と続けた。
岸田総理 vs. ChatGPTで答弁比較 岸田総理が優勢?
その後中谷議員は、ChatGPT自身は先ほどの質問に対してどのように答弁したか、回答例を開示した。ChatGPTは「今回の改正法に関しては、地方自治体や医療現場の関係者から多くの意見や提言が寄せられています。政府はこれらの意見を丁寧に収集し、改正法案に反映することで関係者の要望を最大限に取り入れることを目指しました」などど回答したという。
中谷議員はこの回答について「総理の答弁よりも、もしかすると誠実でピントが合っているのでは」とし「総理から見て、自身の答弁と進化した生成したAIの答弁を比べてどのような所感を持ったか」と投げかけた。
岸田総理は「少なくともパッと見た場合、ChatGPTの答弁よりも具体的な関係者の名前を上げているという点において、より実態を反映した答弁をさせていただいたのではないかと感じてはおります」と話した。
また、中谷議員は立法府・行政府の公開情報を学習させた対話型AIを開発し、デジタル民主主義について進化させる考えあるか、岸田総理に質問。岸田総理は「生成AIは誤った情報が含まれるなどの課題はある一方、言葉によるプログラミングで作業支援も可能など、大きな可能性があるのは承知している」と述べた。
一方、行政においてセキュリティを確保し、生成AIを活用することについては、費用面やデータの取り扱い、政府自身がAIを開発することは適当か、など整理すべき点があるとも言及。「活用の進め方については今後検討を進めていきたい」と回答した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 卒業式の式辞をChatGPTで作成、富山県立大の学長が実践 その内容は?
富山県立大学の学位記授与式の中で、同大学の下山勲学長はChatGPTで生成した文章を式辞として読み上げた。 - AIプロ集団から見た「ChatGPTの歴史」 たった5年で何が起こったのか
AIのプロ集団であるELYZAが現在大流行中の「ChatGPT」について、その進化の歴史を解説した。ほとんどの出来事はここ5年以内に起こっており、市場環境は目まぐるしく変化している。 - 就活生の自己PRや志望動機をAIが作成 新卒向け求人紹介サービスが機能実装 ChatGPT APIを活用
新卒向け求人紹介サービス「BLITZCAREE」を提供するBLITZ Marketingは、同サービス内にAIがプロフィールを自動作成する機能「AIアシスタント」を実装したと発表した。アピールしたいキーワードを入力するだけで、AIが文章を自動生成するという。 - ChatGPTで個人情報漏えい OpenAIが原因と対策を説明
OpenAIは3月20日にChatGPTをオフラインにした原因を説明した。バグにより、一部のユーザーの個人情報とチャット履歴が他のユーザーに表示されたため。バグは修正し、影響を受けたユーザーには連絡した。 - ChatGPTの利用を社内で許可すべき? 懸念される情報漏えいリスクとは
米OpenAIが発表した高性能対話AI「ChatGPT」。大きな盛り上がりを見せているが、利用禁止に踏み切る企業も少なくない。ChatGPTの利用することで、考えられる情報漏えいリスクとは何か。