卒業式の式辞をChatGPTで作成、富山県立大の学長が実践 その内容は?
富山県立大学の学位記授与式の中で、同大学の下山勲学長はChatGPTで生成した文章を式辞として読み上げた。
「ところで、これからお話しする文章を注意深く聞いてください」──富山県立大学の下山勲学長は、3月18日に開催した同大学の学位記授与式の中でこのように宣言した。その後、以下の文章を読み上げた。
今日は私たちにとって大切な日です。この場を借りて皆さんがこの日を迎えるまで長い道のりを振り返り、皆さんがこれまで気付いてきた成果をたたえたいと思います。皆さんが通った道は、時には険しく、時には曲がりくねっていました。しかしその中で皆さんは、自分自身を見つめ、努力し、挑戦し続けました。その結果皆さんは今日、栄誉あるこの日を迎えることができました。心からおめでとうございます。
ここまで読み上げた後、下山学長は、この一連の文章は大規模言語AIサービス「ChatGPT」で「卒業式の式辞を作って」と入力して作成したものだと明かした。「卒業式の式辞をAIに手伝ってもらいたいと考え、この文章を生成した」と理由を話す。
下山学長は続け「生成した文章を妻に見せると『あなたらしくない』『心に引っ掛からない』『定型的な式辞だね』といわれてしまいました。その後も『卒業式の式辞を心を込めて作って』『富山県の課題を教えて』『ソートするプログラムを作って』と入力したところ、しっかりとした文章やプログラムが返ってきた。私が2023年で最も驚いたことでした」と話した。
その後、AIに奪われる人間の仕事について論じた論文「雇用の未来」(英オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授らが13年に発表)についても言及。プログラマーやテクニカルライターなどAIに奪われる可能性の高い仕事について持論を述べた。それらを踏まえ下山学長は「歴史的・世界的に初めて挑戦する課題、誰も挑戦したことがない課題に挑戦し、解決してもらえると期待している」と卒業生たちにエールを送った。
学位記授与式の模様は富山県立大学の公式YouTubeチャンネルで公開中。下山学長の式辞は41分51秒から。
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