なぜ? 「Suica」がサーバ型に移行する理由 25年近く稼働する“安全神話”の象徴に何が(3/3 ページ)
JR東日本はSuicaで新改札システムを導入し、これまで駅改札でローカル処理を行っていた運賃計算をサーバ処理に移管していく。改札機で計算することで高速処理と耐障害性を実現していたSuicaだが、なぜサーバ型に舵を切るのか。
障害が発生した時はどうなる?
問題となるのは、以前までであれば改札処理そのものは駅の改札機によるローカル処理で完結していたものが、センターサーバに集約することでネットワークまたはセンターで障害が発生した際に全ての改札機にその影響が拡大してしまう懸念だろう。
JR東日本ではセンター側の機器とネットワークともに多重化を行っていると説明しており、実際にさまざまなケースを想定して導入に踏み切ったと思われる。もはやローカル処理は限界で、Suicaが新しいステップを踏むためにはクラウドへの移行が必要であり、トラブルの可能性を差し引いてもそちらの方がメリットにあると判断したわけだ。
それでも全ネットワークがダウンする可能性はゼロではないので、その場合は諸外国で見られるように「一時的に改札を全開放して全ての乗客を素通しする」といった対策などで対処することになるとみられる。
いずれにせよ、現状のSuicaは25年来のシステムでありすでに技術の発展性には限界が近いこと、そのうえで必要だったのがクラウド化だったこと、そしてクラウド移行で発生するリスクなどは当然JR東日本も織り込み済みで対策を行っていることがポイントとなる。
われわれはあくまで乗客や利用者の立場であり、前述の柔軟な運用ルールも含め、利用者にできるだけ不便を強いることなくサービスを提供するのがJR東日本の役割だ。障害というのは当然発生し得るものであり、むしろそれにどう対処していくかが同社の本当の腕の見せ所だろう。
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