ニュース
京大附属病院、3Dプリンタで神経損傷の治療に成功 切れた神経を回復できるように
京都大学医学部附属病院が、バイオ3Dプリンタを使った末梢神経損傷の治療に世界で初めて成功した。従来手法に比べて神経再生が良好で、副作用や合併症の発生もないという。
京都大学医学部附属病院は4月24日、バイオ3Dプリンタを使った末梢神経損傷の治療に世界で初めて成功したと発表した。従来の手法に比べて神経再生が良好で、副作用や合併症の発生もないという。
治験では、腹部の皮膚から採取した細胞を培養し、サイフューズ(東京都港区)製のバイオ3Dプリンタで「神経導管」をプリントした。神経導管は神経のネットワークを構成する「軸索」を伸長させる管のこと。これを損傷箇所に移植することで、軸索の再生に成功した。
3人の患者に適用し、12カ月に渡り観察を続けたが、患者全員で知覚神経が回復し、副作用もないことから、安全性と有効性が確認できたとしている。
現在、末梢神経が損傷した場合の治療法としては「自家神経移植」が主流となっている。患者の健常な神経を採取して損傷箇所に移植する手法だが、神経再生が十分でない、採取した部分にしびれや痛みが残るなどの問題があった。
京都大学医学部附属病院は「末梢神経の損傷で思うように手が使えなくなり苦しんでいる患者さんや、自家神経移植で痛みが残ってしまった患者さんは多い。今回の結果で、神経導管移植が選択肢の一つになり、患者さんの社会復帰が可能になる」としている。
今後はサイフューズ主導で再生医療等製品としての実用化に向けて開発を進めるとしている。
関連記事
- マイナ保険証を使うときの顔認証、いったい何の顔データを使っている?
保険証がマイナカードに置き換わるわけだが、病院でマイナ保険証を使うときには専用の機械にカードを差し込み、「顔認証」が可能だ。では顔認証はいったい何のデータを使っているのだろうか。 - 全員に管理者権限、パスワードは全部共通、脆弱性は放置…… ランサム攻撃受けた大阪急性期・総合医療センターのずさんな体制
2022年10月末にサイバー攻撃を受けたことで話題になった大阪急性期・総合医療センターが、同件の調査報告書を公開。同センターのずさんな管理体制が明らかになった。 - マスク着用、きょうから「個人の判断で」 ネットの反応は
3月13日以降、「個人の判断が基本」となるマスクの着用。SNSの反応は賛否両論だ。 - ラクすぎて泣いた! 確定申告の医療費計算、マイナポータルなら“一瞬”で終わる
確定申告が今年から楽になる。その1つが、所得控除の対象になる医療費の集計だ。マイナンバーカードとスマートフォンを持っていれば、年間の医療費(保険診療分)を“一瞬”で算出できるようになった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.