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“AIのゴッドファーザー”ことヒントン博士、Googleを退社してAI開発に警鐘

“AIのゴッドファーザー”の二つ名を持つジェフリー・ヒントン博士がGoogleを辞めた。New York Timesのインタビューで「Googleを辞めたので、AIのリスクについて自由に話せるようになった」と語った。企業がAIシステムを改善するにつれて、危険は増大すると警鐘を鳴らす。

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 AI研究者で「ディープラーニング(深層学習)」など多数の関連用語を創ったことでも知られるジェフリー・ヒントン博士(75)が約10年勤めた米Googleのエンジニアリングフェローを辞めたと米New York Timesが5月1日(現地時間)に報じた。

 記事の小見出しは「半世紀にわたってChatGPTのようなチャットボットの心臓部になるテクノロジーを育ててきたヒントン氏。同氏は今や、それが深刻な害をもたらすのでないかと懸念している」となっている。

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 ヒントン氏はNew York Timesのインタビューで、Googleを辞めたので、AIのリスクについて自由に話せるようになったと語った。今となっては自分のライフワークについて後悔しているが「私がやらなくても誰かがやっていただろうと自分を慰めている」という。

 同氏は1971年には英エジンバラ大学でAIの博士課程を開始し、米カーネギーメロン大学や加トロント大学などでAIに関する研究を続けた。米MetaのAI研究責任者、ヤン・ルカン博士とも交流があり、2019年には「ディープラーニング革命の父たち」としてルカン氏、加モントリオール大学教授ヨシュア・ベンジオ氏とともにチューリング賞を受賞した。

 Googleには、同社が英DeepMindを買収する前年に参加。同年ルカン氏はFacebook(当時)入りしている。

 New York Timesによると、ヒントン氏は4月、Googleに辞任を通知したという。

 ヒントン氏はNew York Timesのインタビューで、企業がAIシステムを改善するにつれて、危険は増大すると語った。5年前と現在の状況を見れば、5年後は恐ろしいことになると予測できるとしている。

 Googleはこれまで、技術の「適切な管理者」として行動してきたと同氏は語った。だが、米OpenAIや米Microsoftによる急激な動きにあおられるようにBardの提供などを開始した。ヒントン氏は、大手は止めることのできない競争に巻き込まれていると語った。

 同氏は、こうした競争は「ある種の世界的な規制なしには止められない」と主張する。最善の方法は、世界をリードする科学者が制御方法について協力することだという。

 GoogleのAI責任者、ジェフ・ディーン氏はNew York Timesに「われわれはAIへの責任あるアプローチに引き続き取り組んでいる。大胆に革新しつつ、新たなリスクを理解することを学んでいる」という声明文を送った。

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