もう「7」はいらないかも 「Pixel 7a」を使ってみたらコスパが良すぎた 【先行レビュー】(4/4 ページ)
Pixelの良コスパモデルに新作「Pixel 7a」が登場した。2022年10月に登場した「Pixel 7」の廉価版と考えるとわかりやすい。が、これが全く廉価版ではないのだ。
6万2700円は”良コスパ”なのか?
スペックが底上げされた影響か、価格は6万2700円と6aから9000円ほど値上がりしている。米国価格は50ドル高い499ドルに設定されており、円安が値上げに響いているのが分かる。ただ、6aで驚異的だったドル円レートに多少の調整は入ってはいるものの、7aでも1ドル約114円(国内価格から消費税を抜いて米国価格と比較)に抑えられており、依然として戦略的なプライシングになっている。
ミドルクラスをここまで隙なく仕上げたGoogleには、スマートフォンのシェアを取っていくという意気込みを感じる。5年のセキュリティアップデートが保証されているし、おサイフケータイ周りも普通に使える。Google OneのVPNサービスも無料で付いてくる。「どのスマホを買えば良いのかわからない」時の選択肢として真っ先に上がってくるし、他のスマートフォンメーカーからすると脅威だろう。ドコモが再び取り扱うのもうなずける。
気になるのは、7aより2万円高いPixel 7の立ち位置だ。細かいスペック差はあれど、7の存在意義はだいぶ薄くなったと感じるし、ぶっちゃけ「Pixel 7 ProとPixel 7aで良いのでは」とも思えてしまう。その一方で、良コスパといえども絶対的な価格は上がっており、当初aシリーズの魅力だった「安く買えてそこそこ使えるGoogle製スマホ」から遠のいてしまっている感も否めない。
Googleがスマホに力を入れるワケ
高性能を良コスパで提供する背景には、ユーザーをGoogleのサービスに長期的につなぎとめておく狙いもありそうだ。
iPhoneのデフォルトの検索サービスがGoogleになるよう、同社はAppleに年間1兆円以上支払っているといわれている。ネットの入り口にGoogleを使ってもらうことは、同社のエコシステムのためには必要不可欠であり、カメラ性能などスマートフォンとしての魅力を高め、独自チップによるAI機能の強化がもたらす利便性でユーザーを虜にすることで、「Pixelを選んでもらう=Googleのエコシステム維持につながる」という見方もできる。
ChatGPTなど生成AIの登場で、インターネットの入り口が今後大きく変わりそうな気配があるなか、ユーザーにとって一番身近なインターネットデバイスであるスマートフォンにPixelを選んでもらうというのは、Googleのエコシステムを維持する上でより一層大きな意味を持つ可能性がある。
Googleも独自LLMの開発や生成AIサービスの提供を始めており、Google I/Oでは、次世代LLM「PaLM 2」とチャットAI「Bard」の日本語版を発表するなど、ネットの地殻変動に食らいつこうとしている。PaLM 2には、スマートフォンなどエッジデバイス単体で動かせる軽量版を含む、4種類のサイズが発表されている。
こうした動きを見ると、GoogleがAIを強化した独自チップを自社デバイスにどんどん搭載させている意味も見えてくる。Googleがユーザーに使わせたいAI機能には、7aの性能が必要なのかもしれないということだ。Pixelにどういった進化がもたらされるのか、今後のアップデートにも注目していきたい。
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