Meta、AI強化に向けた自社開発のAIチップ、スパコン、データセンター、生成AIアシスタントを発表
MetaはAIに関する取り組みについて発表した。自社開発のAIチップ2種、スパコン「RCS」の進捗、GitHub Copilotのような「Code Compose」、AIデータセンターについてだ。
米Metaは5月18日(現地時間)、FacebookやInstagram、メタバースにおけるAI体験強化に向けた「次世代インフラ」について発表した。
AIトレーニング高速化のためのチップ「MTIA」
MTIA(Meta Training and Inference Accelerator)は、AIによるレコメンデーションシステムを強化し、ユーザーのフィード上に表示する最適なコンテンツをより迅速に見つけられるように設計された第1世代のカスタムチップ。ASIC(特定用途向け集積回路)で、複数のタスクを並行して実行するようにプログラムできる。2025年リリースの予定だ。
動画処理向けチップ「MSVP」
Meta Scalable Video Processor(MSVP)は、VOD(ビデオオンデマンド)やライブストリーミングの処理ニーズに合わせて設計したASIC。
多様な端末上のFacebookやInstagramで視聴される動画を適切にトランスコードし、ライブストリーミングに必要な低遅延と処理時間の高速化を効率的にサポートするという。詳細は公式ブログを参照されたい。
コーディングアシスタント「Code Compose」
Code Composeは、GitHubのCopilotのような、コーディング向け生成AIツール。まだ公開はしていないが、既に社内ではVS CodeなどのIDEでPythonを始めとする各種言語のコードの候補を提示させているという。
将来的にはオープンソースで公開したいとマーク・ザッカーバーグCEOは語った。
“世界最速”スーパーコンピュータ「Research SuperCluster」
Research SuperCluster(RSC)は、昨年1月に発表した米NVIDIA製GPUと高速インターコネクトを備える(ザッカーバーグ氏によると)世界最速のスーパーコンピューターの1つ。
RSCは第2フェーズの構築を完了し、1万6000個の「A100」を搭載した2000台の「DGX A100」システムで構成されている。
MetaはRSCで独自LLM(大規模言語モデル)の「LLaMA」と“世界初の”口頭言語用のAI翻訳システムをトレーニングしている。そうしたクラスタを自社で構築することで、次世代の基礎モデルをトレーニングするためにクラスタを調整できるとしている。
AI特化の次世代データセンター
具体的な開設時期については公式ブログでは言及していないが、AI向けに最適化した次世代データセンターの設計についても発表した。ザッカーバーグ氏は「大規模なトレーニングと推論を処理する液体冷却ハードウェアをサポートする装備と、大規模なスーパークラスターをサポートするように設計されたネットワーク」と説明した。
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