「AI導入で美術スタッフ大量解雇」のうわさ否定 ゲーム「DEEMO」開発元・Rayarkが声明
ゲーム開発を手掛ける台湾Rayarkが、「画像生成AIを導入し、美術スタッフを大量解雇した」などとするネット上のうわさを否定する声明を出した。
スマートフォン向け音楽ゲーム「DEEMO」などを手掛ける台湾Rayark(レイアーク)は5月27日(現地時間)、「画像生成AIを導入し、美術スタッフを大量解雇した」などとするネット上のうわさについて、「事実ではない」と否定する声明を出した。
Rayarkは声明の中で、AIを研究したり、試用したりする意思があることや、専門知識を持つ人材の採用を進めていたことは事実と説明。一方、美術スタッフの解雇については事実に基づかない推測か、過去の発言を歪曲して解釈した情報だと否定した。
RayarkはDEEMOや「Cytus」シリーズといったスマホ向け音楽ゲーム、及びその移植版などを開発・提供している。中でもDEEMOは人気作で、iOS/Android版が累計2800万ダウンロード(2021年時点)された他、漫画や小説にもなっている。
一方、SNSやネットの掲示板では、同社に対し「画像生成AIの導入により、大量の美術スタッフを解雇した」とするうわさが広がっていたという。うわさの原因とみられる出来事はいくつかある。一つはCytusシリーズの公式Twitterアカウントが投稿したイラストに対し、プレイヤーから「AIで生成した画像ではないか」という指摘があったことだ。
Rayarkが提供するゲームの多くは独特の世界観と、それに沿ったUIやイラスト、楽曲を特徴としている。例えばDEEMOは「城に住む黒い影のような存在が、ピアノの演奏で植物を大きくし、ヒロインを城外に導く」というストーリーに加え、雰囲気に合わせたイラスト・楽曲がヒットの一因となった。ゲームに携わるイラストレーターをリスペクトするファンも見られた。
そんな中、Cytus公式Twitterアカウントは23年5月17日にイラストを投稿。その画風などから、プレイヤーから「AI生成画像ではないか」という指摘があった。投稿したイラストが、他社ゲームとのコラボを予告していた可能性もあり、一部のプレイヤーからは「ゲームに携わってきたイラストレーターをばかにしている」という意見も。実際にAIを利用したのかは不明だが、SNS上で“炎上状態”になっていた。
さらに、Rayark社員が米Googleが台湾で開催したイベントに登壇し、AIの利活用に関する講演を行っていたこともあり、一部プレイヤーの反感が高まっていたようだ。
ただしRayarkは、今後ゲーム開発の補助にAIを活用する方針を崩していない。「今後やってくるであろう大いなるAI生成コンテンツ時代に向けて、開発プロセスとAI補助教育訓練の整備を進め、さまざまな挑戦を行っていく所存」(同社)としている。
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