自治体が欲しいデジタル人材の集め方・育て方 クラウド活用進む神戸市・浜松市の戦略は? 市長に聞く(1/3 ページ)
他自治体に先行してAWSなどを使いこなす自治体は、どうやってデジタル人材を獲得しているのか。神戸市・浜松市の市長に聞いた。
地方自治体で進むクラウドの活用。他自治体に先行してAWSなどを使いこなす自治体のDXは、いまどんな段階にあるのか。前編では、政府の共通クラウド基盤「ガバメントクラウド」の先行事業に参加する神戸市の現状を久元喜造市長に聞いた。
後編では、ガバメントクラウドに先駆けてAWSの活用を進める浜松市の現状を鈴木康友市長(肩書は取材当時、実質的な後継指名を受けて当選した中野祐介市長が5月1日付で就任)に聞く。さらに、神戸市・浜松市がそれぞれどのようにデジタル人材を育成・獲得しているかもインタビューした。
前編:ガバメントクラウド先行導入の神戸市、手応えは? 市長に聞いた
行政・民間連携のデータ基盤をAWSで構築 地域課題の解消に活用
浜松市は、ガバメントクラウド先行事業にこそ参加していないものの、「スマートシティー」などの分野で、独自にAWSなどクラウド活用の取り組みを進めている。スマートシティーとは、さまざまな通信端末やセンサーなどを使ってデータを収集、統合し、市民の利便性向上を目指す取り組みのことだ。
例えば、行政が保有するデータと民間のデータ/サービスを連携させるデータ基盤「都市OS」をAWSで構築。都市OSを活用したアプリケーションやサービスのアイデアを全国のスタートアップ企業などから公募するプロジェクト「Hamamatsu ORI-Project」(Hamamatsu Open Reginal Innovation Project)を20年から実施している。市単独ではなく民間企業などと共同で地域課題を解決するための取り組みだ。
同プロジェクトにおいて、浜松市は都市OSを提供するだけでなく、補助金の支給、実証実験に使う場の用意、販路開拓の支援なども行っている。市自身も、すでにORI-Projectで生まれたサービス2件を採用しているという。
「浜松市は12市町村が合併してできた政令指定都市。過疎地特有の課題から都市部特有の課題まで、日本全体の縮図ともいえる多様な課題を抱えており、そもそも行政のリソースだけでこうした課題の解決に取り組むには無理がある。一方で、スタートアップ企業には行政課題や社会課題に対する問題意識が高い企業が多い。官民連携のエコシステムをつくり、実証だけでなく、実装まで含めて支援することで、浜松でつくったモデルを全国の地域課題解決に役立ててもらえる可能性がある」(鈴木市長)
一方で、ガバメントクラウドについても活用や検討が進んでいる。行政の実務や市民サービスにおいて、行政手続きのオンライン化やガバメントクラウドを活用した窓口業務の効率化に取り組んでいるといい、「市民の利便性向上と業務効率化の両立と全体最適を図っている」(鈴木市長)としている。
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