Apple「Vision Pro」の発表に出なかった言葉 「VR」「メタバース」(2/2 ページ)
Appleのティム・クックCEOによると「Vision Pro」は「新しいARプラットフォーム」であり、「Apple初の空間コンピューター」でもあるという。一方で「VR」「メタバース」という言葉は出てこなかった。
外観はVRヘッドセットだけど?
一方、Vision Proの外観はほぼVRヘッドセットで、そのスペックから十分以上にその役割を果たせると期待できる。にもかかわらず、WWDCの基調講演では「VR」や「メタバース」といった流行の言葉は出てこなかった。WWDC直前にVRゴーグルの新モデル「Quest 3」を発表した米Metaなどもどこ吹く風といった趣だ(個人の感想です)。
Vision Pro対応のゲームについても、発売時には「Apple Arcade」で提供する「100以上のゲーム」。ディズニーのCEOが登壇してVision Proへのコミットを表明した映像コンテンツとの温度差を感じた。
この違和感については、基調講演後に海外のゲーム開発者のつぶやきを見て少し理解できた。開発者の中にはVision Proの新しい操作方法に戦々恐々としている人達がいる。詳細な仕様が公開されるのはこれからだが、コントローラーに対応していないと既存ゲームの移植はハードルが高くなるという。事実なら将来的に開発者達はコミットするプラットフォームの選択を迫られるのかもしれない。
一方でAppleは、Unityとのパートナーシップなど開発者の心をくすぐる発表も用意していた。Vision Proというユニークな作業環境に優れた開発ツール、そしてこれから開拓されるVision Proのアプリ市場。VRゲームを含む世界中の開発者の眼前にそれらをぶら下げ、「Appleのプラットフォームへいらっしゃい」と誘っているようだ(個人の感想です)。
Vision Proは3499ドル(約48万8000円)という価格も話題だ。確かにQuest 3(7万4800円)の6〜7倍という数字はインパクト大だが、空間コンピューターの開発キットと捉えれば不自然な値付けではない。もちろん高価なVision Proがすぐに普及することはないだろうが、いずれ既存のVR市場にも一石を投じる存在になるのかもしれない。
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