Google Cloud、生成AIによるデータ検索で米医療大手のメイヨークリニックと提携
Google Cloudは、医療データ検索での生成AI採用で医療大手のMayo Clinicと提携した。医師や研究者は「Gen App Builder」のチャットbotで効率的にデータを検索できるとしている。新サービスはHIPAAに準拠している。
米Google傘下のGoogle Cloudは6月7日(現地時間)、生成AIによる検索などで米医療大手のMayo Clinicと提携したと発表した。3月に発表したAIプラットフォーム「Generative AI App Builder」などで「臨床医や研究者が必要な情報を見つけやすくなり、最終的には患者の転帰の改善に役立つ」としている。
Generative AI App Builder(以下「Gen App Builder」)は、botやチャットインタフェース、検索エンジン、デジタルアシスタントなどの新たな体験を開発するためのプラットフォーム。開発者はこれにAPIでアクセスし、生成系アプリを開発できる。
このプラットフォームでエンタープライズ検索を使うことで、組織は最小限のコーディングで専用のチャットbotとセマンティック検索アプリを生成できるという。
医療の現場では、カルテ、研究論文、臨床ガイドライン、レントゲン画像など、多様な情報を使って診断や治療方針を判断する。こうした医療データは多様な形式で分散されて保存されていることが多く、見つけるのが困難だ。Gen App Builderのエンタープライズ検索はこうした分散した情報やイントラネット全体のデータを統合し、関連性の高い検索を容易にするとしている。
Google Cloudのトーマス・クリアンCEOは発表文で「生成AIは人間の対話を強化し、かつてなく業務を自動化することで医療を変革する可能性を秘めている」と語った。
Googleは、プライバシーに対する同社のアプローチで、顧客が自分のデータを確実に管理できると語り、新サービスは医療保険の相互運用性と責任に関する法律(HIPAA)に準拠していると述べた。
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