SBI、半導体製造に参入 台湾企業と共同で日本に工場建設へ 北尾氏「絶好のチャンス」
SBIホールディングスは7月5日、台湾の半導体製造メーカー「Powerchip Semiconductor Manufacturing Corporation」(PSMC)と、日本での半導体工場設立に向けた準備会社を設立すると発表した。
SBIホールディングスは7月5日、台湾の半導体製造メーカー「Powerchip Semiconductor Manufacturing Corporation」(PSMC)と、日本での半導体工場設立に向けた準備会社を設立すると発表した。
PSMCは、1998年に設立された台湾3位、世界6位の半導体ファウンダリ。メモリとロジック半導体の両方を製造できるという。同社は最先端のプロセスノードはカバーしていないものの、「28nm以上の半導体を高品質で安価・大量に生産するビジネスモデルを有している」と説明している。
日本で設立する工場は、まず40/55nmのプロセスルールで車載・産業機器用ICチップに注力し、中期的にはWoW(Wafer-on-Wafer)となる3次元積層ウェハおよび、28nmの以下のプロセスノードへの移行を目指す。さらに長期的には、先端半導体技術を開発するための研究所も国内に設立するという。
同社は、2030年までに世界の半導体市場が100兆円を超える見込みから「日本が再び半導体産業を活性化するためには半導体産業をリードする台湾企業と提携をすることが成功への大きな鍵」と説明。これに加え、地政学リスクの観点から「日本が半導体のグローバルサプライチェーンの起点となっていくことは中東、アジア及び欧米諸国からも求められてくる」としている。
半導体分野進出は「絶好のチャンス」
金融業をメインとするSBIだが、同社の役割として北尾吉孝氏(SBIHD代表取締役会長 兼 社長)は「政府の補助金や土地、インフラの利用可能性、あるいは税制上の優遇措置など、政府または地方公共団体に働きかけること」とした他、「資金調達に関して、会社への参画もやっていく。グローバルでの資金調達もお手伝いする」としている。
北尾氏は「もし(微細化が)限界に到達している、あるいは近いなら、今こそ半導体分野進出の絶好のチャンスだと思う。設備投資も巨大化、高度化している。新規参入もなかなか難しいから減少していく。競争も減少していく。そういうタイミングで出れるのは非常にラッキー」と発言。
続けて「政府が資金を入れているのはハイエンド。ところが、ミドルレンジあるいは成熟したプロセスの半導体需要はものすごくある。二極化構造で、ハイエンドほど投資は掛かるし競争も激しい」「ハイエンドが占めるのは全体の1〜2割。ミドルレンジ、成熟プロセスで製造する半導体は依然として必要」と、準ハイエンドのプロセスルールで参入するメリットを語った。
今後、準備会社において工場立地場所の選定、事業計画の策定、資金調達の計画などを実施。工場の建設開始時期や稼働時期などの詳細については、改めて案内するとしている。
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